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戴冠式、当日。

トロデーン城、『謁見の間』に皆が集合し、
玉座に座るトロデ王の前に跪(ひざまず)く。
今日の俺は、王位継承の為、正装している。
心なしか、緊張する……。

練習通り、誓いの言葉を述べると、周囲が静寂に包まれた。
トロデ王が徐に玉座から立ち上がり、こちらへ歩み寄ると、自分の『王冠』を外した。
周囲に緊張が走る。

……と。
王が耳元で小さく囁いてくる。

「……そんなに硬くならんでよい。
 失敗しても、誰も怒らん。
 ただ、笑われるだけじゃ♪」

__それが、嫌なんですってば……!!

目で抗議すると、トロデ王は片目を瞑(つむ)った。

「ほれ、緊張が解けたではないか♪」

__え?

驚愕する俺の頭に、そのまま丁寧に王冠を被せる。
だが感心している場合では無かった。
城内から、拍手が沸き起こったからだ。
トロデ王は、皆に向き直り、大声を張り上げ宣言した。

「今日から、トロデーンの王はエイトじゃ!!!!
 皆、新国王エイトの為に、祝いじゃ、宴じゃ!!!!」

徐に立ち上がると、花弁(はなびら)や紙吹雪が舞っている。
城内が歓喜の渦に包まれる中、視線をトロデ王に移す。

「陛下……。」

しかし、王は首を横に振ると、ニヤリと微笑んだ。

「違うじゃろ、エイト。
 昨日、言ったではないか!!
 今日からワシの事は『お義父さん』じゃ♪」

思わず唖然となったが、苦笑すると俺は頷いた。

「はい。
 『お義父さん』、これからも宜しくお願いします。」

満面の笑みを浮かべ、トロデ王が深く頷く。
少々恥ずかしかったけど、そのうち慣れるだろう。

皆に向かって俺は勢い良く手を振った。
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