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時間が経ち落ち着いたミーティアに促され、 俺達はトロデ王の部屋に向かう。 「エイト。 いよいよ、明日じゃ。 心の準備は整っておるか?」 部屋に入るなり、王が問いかけてくる。 緊張したが、深く頷いた。 「ワシもお前と同じ年齢の頃は、色々悩んだものじゃ。 じゃが、時と共に慣れてくる。 やれやれ、歳は取りたくないわい……。」 トロデ王は嘆息すると、壁に掛けられた絵画に視線を移す。 今は亡き王妃の肖像画で、ミーティアにソックリだった。 そういえば、俺の母・ウィニアも彼女に似ていた。 言葉が見つからず、呆然としていると、王は独り言のように語り始める。 「お前が最初、この城に来た時は、感情の乏しい子供じゃと思った……。 じゃが、どこか不思議な風格を漂わせておってな。 きっと、この子は何かを成し遂げる……。 そう確信したのじゃよ。」 「だって、お父様。 エイトは『勇者』ですもの。」 静かに聞いていたミーティアが思い出したように、言葉を繋ぐ。 __俺が、『勇者』……? 微笑むと、王は俺を見上げた。 「うむ、そうじゃな。 元々『勇気』のスキルは、選ばれし勇者だけに与えられるものじゃ。 エイトは正真正銘の勇者じゃったという訳じゃ!!」 何だか、親子2人で盛り上がっている気がする……。 悪い気はしなかったけど、話題を切り替える為、別の事を問うてみよう。 「そうだ、陛下。 俺が王位に着いた暁には、陛下を何とお呼びすればよろしいですか?」 腕組みして考え込むと、トロデ王は自分を指差し上機嫌で答えた。 「『お義父さん』と呼ぶのじゃ!!」 __……お、おとうさん? 「外交の時は?」 「『お義父さん』で良い!!」 「来賓の方々の前でも?」 「『お義父さん』じゃ♪」 俺とトロデ王の妙な返答が続く中、 口を両手で押さえ笑いを必死に堪えるミーティアが目に入る。 でも、コレが彼特有の『緊張解し』だと理解したのは、 戴冠式、当日の事だった。 |
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