ラプソーンを倒し、トロデーン城にかけられた呪いを解いた数ヶ月後。
ミーティアと結婚した俺は、トロデ王から『国王』になる為の教育を施される。

……そして。
遂にその時がやってきた。
<1>
戴冠式を間近に控え、練習を終えた俺は、仲間達と共に居た。
王位を継ぐ者が、いつまでも兵舎にいるなと叱咤された為、
綺麗な装飾品の並べられた整った1人部屋を用意されている。

部屋の片隅に掛けられている王様専用の衣装を手に取り、
ククールが苦笑する。

「良かったな、エイト。
 トロデ王と同じサイズだったら、どうしようかと思ったぜ。」

すると、ゼシカが腰に両拳を当て、抗議した。

「そんな訳無いでしょ。
 エイトのサイズが一般的なの。
 トロデ王は特別なの!!」

確かに……。
失礼して、トロデ王は極端に小さいと思う。
ドルマゲス(ラプソーン)の呪いで変身した時も、同じサイズだったし。
俺と同じ事を考えたのか、ヤンガスが妙に納得しながら、歩み寄って来る。

「魔物でも人間でも、オッサンは変わらなかったでげすよ。
 姫様は完全に母親似で良かったでげすね♪
 兄貴と姫様の子供なら、美男美女間違いなしでがす!!」

は、ははは……。
王になることばかり考えていたけど、確かにそうだ。
そっちの方も、頑張らなくっちゃ。
気付くと、ヤンガス、ククール、ゼシカが力強く微笑んでいる。

「兄貴。
 アッシは、兄貴のような立派な人間を、
 兄貴と呼ばせてもらって良かったでげすよ!!」

「そうだな。
 エイトは竜神族と王族のハーフだ。
 だから、この扱いが本当は正しいんだよ。
 胸張って生きろ!!」

「でも、王様になったからといって、
 別に扱いが変わる訳じゃないから、覚悟しなさいよ♪」

3人が言い終わるのを待って、ポケットに居たトーポが顔を出した。

皆……。
本当に、ありがとう。
次へ
これの前の話『エイトさんの受難』_[14]へ
DQ8『小説』CONTENTS