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バトルロード格闘場。
皆が俺を『チャンピオン』呼ばわりし、称讃の言葉を放つ。
だけど、今は闘う為に来たんじゃない……。

鉄格子の向こう側にいるスカウトモンスター達が俺を見つけて寄って来る。
片っ端から撫でてやりたい衝動に駆られたが……。

「どうする。
 ボーイが王になった暁には、
 モンスター達を逃がしてやるのか?」

モリーさんの問いに、鉄格子の隙間に入れかけた俺の手が止まる。
スカウトモンスターは、放してもまた仲間に出来る。
でも、寂しそうに去っていくあの表情を見せられると……。

「考えさせて下さい……。」

この心境で、答えは出ない。
俯き唇を噛み締めると、彼は頷き返してくれた。

「それがいいだろう。
 私は他の者の試合を見てくるから、よく考えた上で返事するのだぞ。」
「わかりました。」

颯爽(さっそう)と部屋を出るモリーさんを見送った後、鉄格子に視線を移す。

__やっぱり君達は、自由に暮らした方がいいよね……。

試合に出る為には無心になれた。
モンスターチームの入れ替えも頻繁に行った。
でも、今は闘う必要なんてない……。

「エイトさん。
 ひょっとして悩んでいますか?」

『メタルキング』の『スマイル』が問いかけてくる。
正直、苦労して手に入れた『スマイル』を手放すのは、心苦しい!!
彼の隣には、はぐれメタルの『はぐりん』も居て……。

__手放すのが惜しいです!!

「エイトさん。
 悩み有るんだったら言って!!」
「悩み言って♪」
「言って!!!!」

スカウトモンスター達の騒ぎが大合唱のように耳に響く……!!
仕方ない……。
気が進まないけど、悩みの訳を話そうか……。
静かにさせないといけないし……。

俺は項垂れ、嘆息すると、彼等に向き直った。
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