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『メダル王女の城』でご馳走になり、
『トロデーン城』に戻った頃には、既に夜になっていた。

「なんじゃと〜〜〜〜〜〜〜!!!!?
 勝手にミーティアと逃げた上、
 食事はとっくに済ませて来たじゃと〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!?」

驚愕と怒りの混じったトロデ王の絶叫が、城内で響き渡る。
慣れているのか全く意に介さず、
ミーティアが両手を合わせ輝くような笑みを浮かべる。

「はい。
 とっても美味しかったですわ♪」

彼女の言葉に力なく項垂れ、後を向くと王は拗ね始める。

「……なんじゃ。
 また、ワシだけ仲間外れか……。
 お前達だけ、美味しい海の幸が食せていいのお……。」

以前、アスカンタで俺達が食事に招待された時と同じ拗ね方だった。
でもね。
ちゃんと、お土産も用意してるんです♪

「なんじゃ、エイト。
 早く言わんか♪」

メダル王女から貰ったお土産の包みを渡すと、
上機嫌になったトロデ王が慌てて包装紙を破り箱を開ける。
中から出てきたのは?

__生きた蛸(タコ)……?

「コ、コレを食えと……?」

顔面蒼白になり、狼狽した王が見上げてくる。
タコは8本の足をウネウネ絡ませ、徐々に箱から出ようとしている……!!
ふと、箱の底を見ると手紙が入っている。
取り出し、確認すると……?

「陛下。
 生(なま)のままで食べると、美味しいそうです……。
 どうしますか?」

「どうもこうもないわい!!
 何で、こうなるんじゃ〜〜〜〜〜〜〜!!!!?」

絡み付くタコの吸盤を剥がしながら、絶叫するトロデ王。
どうやら海の幸に懐かれてしまったらしい……。
俺とミーティアは顔を見合わせ苦笑する。

ちなみに、このタコはその後食卓に上ることなく、海に戻しました。

「流石(さすが)に生きたままじゃ、かわいそうじゃろ?」

そうですね♪
俺は、王のそんなところが大好きです♪
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