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ククールに回復呪文『ベホマ』を詠唱した後、 立ち上がった俺はミーティアに真っ直ぐ向き直る。 今ので誤解されたら大変だから。 しかし、彼女の表情は至って穏やかだ……。 「俺は『倦怠期』なんて思ってないからね。」 「分かってますわ。 ミーティアだって、エイトが大好きですもの。」 気が付くと、皆に注目されている。 冷やかされると思いきや、意外な反応が返ってきた。 考え込むように腕組みしながら、ククールが自分の意見を語り始める。 「俺が思うには、エイトと姫様って、 2人きりになる機会が少ないんじゃないのか?」 周囲を見回すと、トロデ王、ヤンガス、ゼシカも同時に頷いている。 俺とミーティアは互いに顔を見合わせ、困った表情になる。 __沢山の人々が住む王城で、2人きりなんて無理な話だよな……。 「お前達、最後に接吻したのは何時(いつ)じゃ?」 __はい? 突然、とんでもない事を問うてくるトロデ王。 だが、リアクションに困る発言は、これだけに留まらない!! 「そろそろ、王子か、王女か、孫か、出来て欲しいところじゃが♪ 夜の営みは捗(はかど)っておるか?」 __はいい!? 前回でシリアス路線に行くのかと思いきや、 コメディ路線に逆戻りですか!? マ、マズイ!! このままいけば、確実に『表』で『R指定』だ……!! 「ミーティア……!!」 「はい?」 狼狽しながら、彼女の手を握る。 全く訳分からないといった表情で小首を傾げられたが、今は……。 「取り敢えず、逃げよう!!!!」 「ええ〜〜〜〜〜〜〜〜!?」 驚愕するミーティア。 唖然と佇む仲間達。 だが、それより先に俺は、瞬間転移呪文『ルーラ』詠唱していた。 場所は……何処でもいいや!!!! 一応、正常にルーラ発動。 「何処行くんじゃ〜〜〜〜〜〜〜〜!!? 質問の答えを聞いておらんぞ〜〜〜〜〜〜〜〜!!?」 ……気のせいだろうか? 遠くで、トロデ王が叫ぶ声が聞こえた気がする……。 |
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