「今日も、平和じゃのう♪」 全ての心配から解放され、トロデ王が上機嫌の笑みを見せる。 だが、俺は忘れていない……。 本音と共に表れた、王の寂しい笑顔を……。 |
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__やっぱり、頑張らなくちゃいけないよね……。 イシュマウリさんが現れた図書室に佇(たたず)み、 綺麗に片付けられた机を見つめる。 昨夜まで、ココに書類の山が置いてあって、 俺はトロデ王と一緒に仕事をしていたんだ……。 ふと思い立ち、徐に書棚に手を伸ばす。 引き出した本の表紙には、金の箔押しで『トロデーンの歴史』となっている。 遥か過去。 トロデーン国の王女は、サザンビーク国と王子と愛し合っていた。 だが、両国共に犬猿の仲だった為、最後まで一緒になる事は出来なかった。 その後、互いの子孫を許婚にする事で和解したのだけど、 結局2人は好きな人と結ばれることなく、生涯を過ごしたんだ……。 「もしかしたら、生まれ変わりかもしれませんね……。」 何時(いつ)からいたのだろう。 柔らかい声に振り返ると、ミーティアが傍に立って俺を見つめている。 「だって世が世なら、エイトは『サザンビークの王子』。 そして、ミーティアは『トロデーンの王女』ですもの♪」 確かにそうだね。 ……まだ、ピンと来ないけど。 苦笑しながら、本を書棚に戻す。 「今まで、兵士でいる期間の方が長かったんだ。 突然『王子』だと言われて、受け入れられる筈が……。」 「い〜〜〜え!! 誰が何と言おうと、エイトはミーティアの正当な許婚です!!!!」 言葉を遮ってミーティアが詰め寄る!! 勢いに押され、俺の背が本棚に当たり、上から本が降ってきた。 ……っ痛〜〜〜〜!!!! 「ご、ごめんなさい!! 大丈夫ですか!?」 慌ててミーティアが俺の頭の埃を払う。 痛かったけど、回復呪文『ホイミ』で十分治るし……。 「ひょっとして、『倦怠』の時期かのう?」 丁度そんな俺達の遣り取りを見ていたのか、 深刻な表情でトロデ王が腕組している。 ほら、夫婦になってしばらく経つと、段々慣れてきて退屈するよね。 それが『倦怠期』というもので……。 でもまだ、早い気もするんだけど……。 |
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