ラプソーンがかけたトロデーン城の呪いが解けて数ヶ月後。
予期せぬ混乱が待ち受けていた。
それは……!?

「もう、嫌じゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」

書類の山に奮闘するトロデ王。
魂の絶叫が、城内で木霊する……。
<1>
「ワシだって、のんびり生活がしたいわい!!!!」

地団駄を踏みながら、王がワガママを放つ。

……でも、解かります。
童話に登場する王様っていえば、ゆったりと玉座に腰掛け、
来訪者を謁見の間で待つだけなんだから。

だけど、現実は違う。
公務を果し、外交し、民の声を聴き、答え、何でもしなければならない。
何でも知っていなければならない……。

「じゃがな、エイト。」

視線に気付いたのか、トロデ王が優しい表情で見上げてくる。

「焦る事は無い……。
 ワシは確かにエイトが時期国王になってくれる事を望んでいるが、
 ソレを決めるのはお前自身じゃ……。
 ワシではない……。」

「陛下……。
 俺も手伝います……。」

寂しそうに微笑まれると、胸が締め付けられる。
トロデ王は俺の義父さんでもあるんだ……。
見捨てられる筈が無い。
隣に座ると、黙々と作業に専念する事にした。

やがて、日も落ち、図書室の窓から月明かりが射し始める。
月光は窓枠の影を伸ばしながら壁に映る。

……あれ?
この窓って!?

「エイト、どうしたのじゃ?」

驚愕した王が、問いかける。
それより先に俺の手は、壁に映る『窓の影』に触れていた。

光を放ちながら、ゆっくり『窓の影』が開く……!!
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