前回、『五月病』になってしまった俺は、
ククールと共にオークニスへ向かい、
久し振りにグラッドさんと再会した。

……で、トロデーン城に戻った途端、
我が君主トロデ王が『五月病』に……。

在り得ない話かもしれないけど、
相変わらず王は、未だ無気力状態のままだった。
<1>
「大丈夫でしょうか?
 お父様……。」

口元に手を当てながら、ミーティアが心配そうに尋ねる。
頷きつつも、俺自身、困惑顔になってしまった。

__グラッドさんが言っていた『きつけ草』が効果無いんだ……。

まいったな〜〜〜。
こんな筈じゃ無かったのだけど……。
流石に困っている俺達を見かねて、ククールが嘆息する。

「こうなりゃ、ルイネロさんに聞いてみるか?」

思わず俺とミーティアは彼に注目するが、
ルイネロさんといえば、トラペッタに住む『占い師』で医者でじゃない。
それに、占ってもらうにしても、
最近ではユリマさんの方が、占いが上手だっていうし……。

……?
あれ?

「ククールって、ルイネロさん知ってたっけ?」

だって、滝の洞窟の主・ザバンから水晶玉を取り返した時は、
俺とヤンガスの2人だけだったし、
ゼシカやククールとは面識が無かった筈じゃあ……?
不思議そうに問うと、彼は苦笑しながら返してきた。

「そりゃ、俺だって、一流の占い師の名くらい知っておかないと、
 女の子達と話しが弾まないだろ?」
 
「あ〜〜〜〜、はい、はい、そうですね……。」

聞いた俺が悪かったです。
嘆息し白い目で睨むが、既に慣れているらしく、知らん顔だ……。
しかし、ミーティアの方はそうはいかない。
父が倒れた(?)とあっては、国の一大事とも言うべき表情で、俺達をけしかける。

「行きましょう、エイト、ククールさん!!
 ミーティア、お父様が心配です!!!!」

必死の表情で詰め寄られ、言葉を無くす俺達。

取りあえず、ククールと顔を見合わせ頷き合うと、
さっそくトラペッタへ向かう事にした。

勿論、ミーティアだけでなく、ヤンガスとゼシカも一緒に……。
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