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「え?
 私で本当にいいのですか?」

流石(さすが)に困惑した表情で、水晶玉と俺達を交互に見ると、
ユリマさんは、しばらく俯いたまま考えに耽(ふけ)る。
どれ位、時が過ぎただろうか……?
胸の上で拳を握り締め、頷くと彼女は徐に机の椅子に腰掛け、
水晶玉の上で両手を翳(かざ)した。

息を潜(ひそ)め、結果を待つ……。
……と、その時だった。

「何をしている、ユリマ……。」

丁度、酒場から戻ったのか、ルイネロさんが扉の前で佇(たたず)んでいる。
俺達に気が付くと、彼は顔を綻(ほころ)ばせた。

「何だ。
 久し振りだな。
 来ていたとは思わなかった。」

「でも占いで、俺達が来る事くらいは、予知していたと思って……。」

「いや、エイト。
 最近では、やはりユリマの占いの方が上だ。」

意味を図りかねて注目すると、ユリマさんは、
ミーティアを見つめたまま微笑んでいる。

「えっと……、トロデーンの……ミーティア姫様……ですよね?
 貴女のお父様は既に治っています。
 今まで、無気力な振りをしていただけです。」

「え?」

確か、ミーティアの事については、何も語っていなかった筈だ。
だけど、彼女は言い当ててしまった!!
驚愕した俺達は、占いの理由を問い質そうとするが、
代わりにルイネロさんが答えてくれた。

「おそらく、手相や人相で占ったのだろう。
 コレは名を聞かずとも、大半の事は読めるゆえ……。」

「で、でも、名前までは解からないと思いますよ!?」
「それが、ユリマの実力だろう……。」

妙に納得して、皆頷くが、俺には不思議で仕方が無かった……。

……が、しかし。

トロデ王が無気力な振りをしていたとは、どういう事だろうか?

「言えば、多分、皆さん怒ると思いますよ?」

苦笑しながら答えるユリマさん。
だが、俺達は聞かずにおれなかった……。

その内容とは?
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DQ8『小説』CONTENTS