最初は、張り切ってやっていた『国王』になる為の勉強も、
途端に燃え尽きて、やる気の無くなる月がやってくる。

そう。
俺は今、五月病になっていたのだ……。
<1>
アスカンタからの書類を片付け、
無事、期限ギリギリに届けた俺は、何故かグッタリしていた……。
何だろう?
何にもやる気が出ない……。

「は〜〜〜〜〜〜。」

机の上で突っ伏し、俺は大きな溜め息を漏らしていた。
そんな俺を見つけて、同僚の兵士・ズックが声を掛けてくれる。
さも、心配そうに……。

「エイト。
 あ、いや、エイト隊長。
 どうされたのですか?」

「エイトでいいし、仕事じゃないから敬語もいいよ……。
 何だか、やる気が出ないというか、だるいというか……。」

更に脱力感を感じて、だらけていると、
今度はククールが、部屋に入ってきた。
流石(さすが)に呆れたのか、無気力で黙ったままの俺を放っておいて、
ククールとズックの会話が始まった。

「こりゃ、そうとう重症だな。」

「ククールさんも、そう思います?
 何か、良い『薬』でもあれば良いのですが……。」

「『薬』か……。
 !?」

何かを思いついたのか、ククールは無理やり俺の腕を掴み、
キッと睨みつけてきた。

「何だよ……。」

「情けねえ……と、言いたいところだが、人間誰しも疲れる時は疲れる!!
 こういう場合、『頭を冷やす』のが一番だし、
 その寒い場所には、『薬師』がいるしな♪」

薬師……!?
そうか、オークニスに行こうっていうんだね。

思うが早いか、ククールは瞬間転移呪文『ルーラ』を詠唱し、
予想通りの場所に俺を連れて行ったのだった。

とにかく、力の入らない、この身体を治さなきゃ!!
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