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「結局ワシは、何しに行ったのじゃろうか……。」 何も出来なかった事を落ち込んでいるトロデ王だが、 山積みの書類は待ってくれない。 さっそく俺とミーティアは、王の手伝いに駆り出されていた。 アスカンタ国の書類は丁寧だから、作業も捗(はかど)るのだけど……。 手際よく作業しながら、ミーティアが俺に話しかけてくる。 「でも、ククールさんを、 あのままアルバート邸に置いて来て、大丈夫だったのでしょうか?」 「う〜〜〜ん。 それなりに、違うピンチが訪れている気がするけど……。」 「それより今は、こっちがピンチなんじゃから、しっかり手を動かさんか……!! な〜〜〜に。 ククールは『ルーラ』が使えるのじゃから、気に入らない事が起これば、 トロデーンに戻って来るじゃろて。」 「それより、お父様、大変です……!!!! この書類の締め切り、明日になっていますわ!!!!」 __何だって〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!? ミーティアの言葉に、愕然となる俺とトロデ王。 ……と、その時だった。 「エイト。 やっぱ、戻って来ちまった。」 「ククール!!」 「ククールさん!!」 「よう、帰って来てくれた!!!!」 俺達の熱い視線を浴びせられ、帰宅したばかりのククールが狼狽する。 思いっきり笑顔になった俺は、逃げようとしたククールを捕まえる。 彼は、山積みの書類と俺達を見比べ、嘆息した。 「何だよ……。 状況は、向こうと同じだった訳だ。 それで、期限は?」 「明日!!!!」 ククールの問いに、俺とトロデ王は同時に叫んだ。 彼はズッコケて、絶叫する。 「そんなになるまで、仕事を溜めるな!!!! これなら、向こうの方が、まだマシだった!!!!」 ククールの言う『向こう』とは、『アルバート家』の事で、 結局あの家とは、その後も上手くやっているらしい。 しかし、今は猫の手も借りたい状況だったので、 そんな事はどうでも良かった訳です……。 |
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