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アスカンタ地方、
北東に位置する『モグラのアジト』。
トロデ王をアスカンタに待たせ、ミーティアを加えた俺達5人は、
仕方なくココまで来ていた。

松明を翳(かざ)し、俺はミーティアの手を引き、洞窟内に入った。
ヤンガスとゼシカも後に続く。
ククールはというと……、
さりげなくゼシカの肩を抱こうとして、手の甲を抓(つね)られていた。
俺が噴出すと、彼に頭を小突かれた。

そして、歩くこと数分で洞窟奥に到着。
過去に来た時同様、地響きのような唸り声、もとい、歌声が聴こえてくる。
これは、近くまで行くのが辛いかも……。
……ふと、左に視線を移す。
傍らのミーティアは、俺の左手を握り締め、不安そうにしている。

苦笑し彼女の肩を抱こうとして、手を伸ばし……、
ドン・モグーラに気付かれ、邪魔される……!!

「お、お前達は……!!
 あの時の!!!!」

「覚えなくて結構!!!!
 今すぐ、その歌を止めるんだ……!!!!」

俺はいきり立って、ドン・モグーラに向かって叫ぶ!!
だが、奴の反応は相変わらずのものだった……。

「そうか。 歌を歌って欲しかったのだな。
 ソレは失礼した♪
 では、リサイタル再会!!」

「俺の話を聞け〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」

絶叫するが、無情にもドン・モグーラのリサイタルが始まった!!
……だ、駄目だ、皆『混乱』してしまう……!!
せめて、ミーティアだけでも……と、思い彼女に視線を移すと、
意外にも冷静に、奴の歌を聴いているではないか……!!

「……そうですね。
 元々、ドン・モグーラさんの声帯が、歌うのに適していないのですわ。
 だから、ガラガラ声になってしまうのですね……。
 可哀相ですけど、歌だけが音楽ではありませんから……。」

冷静に分析するミーティアに、一同、唖然とし動けない。
ドン・モグーラはというと、彼女の意見に耳を傾け、
すっかり落ち込んでしまったようである……。

「ドン・モグーラさん。元気出してくださいね。」

「はい……。
 今度はちゃんと練習しときます、『先生』。」

ドン・モグーラに『先生』と呼ばれ、照れ臭そうにミーティアは俺の方に向き直る。
確かに、彼女以上の『音楽の先生』が世界に居るとは思えない。

__最初から、ミーティアが指導してたら変わってたかもな。

俺は苦笑し、彼女の手を取った。
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