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「あっという間に着きましたね。」 そう。 ココは、アスカンタ城下町。 瞬間転移呪文『ルーラ』の便利さに、ミーティアが瞳を輝かせている。 そういえば、彼女は人間の姿でアスカンタに来た事、無かったのだっけ……。 俺は、ミーティアの手を取ったまま、白亜の城を見つめる。 トロデーンの方が確かに大きい城だけど、 アスカンタ城も風情があって良いと思うな……。 「まさか、ま〜〜た、あのモグラに、 やられてるなんてことないわよね♪」 過去に、『月影のハープ』を奪った『ドン・モグーラ』一味を思い出し、 ゼシカが苦笑した。 そういえば、『ドン・モグーラ』の歌って酷かったよな〜〜〜〜。 誰かさん(筆者)に、俺のリアクションが面白いからって、 10回程聞かされたんだけど……。 「エイト。 モグラさんが、何かしたのですか?」 純粋無垢な表情で、ミーティアが俺に問うてくる。 俺は苦笑して答えた。 「ミーティアは知らないと思うけど、歌の大好きなモグラのボスがいてね。 過去に、アスカンタ城の家宝である『月影のハープ』を盗んだ、 お騒がせなモンスターなんだ。」 でも、俺が見る限り、本当に悪そうな奴らに見えなかったから、 見逃してあげたんだ……。 「ミーティアも、そのモグラさんの歌が聞きたいです♪」 にこやかに、可愛らしく語るミーティアに、一同がずっこける!! ……お、俺はというと、何とか体勢を立て直し、彼女に向き直った。 「や、やめといた方が、いいと思うよ……?」 狼狽しながらも、ミーティアを説得。 仲間達も、「うん、うん。」と頷いている。 だが、彼女は、頑として聞いてくれない……。 今度はククールが説得にあたる。 「きっと、姫様の言うイメージと、異なると思うぜ。」 「でも、あの『月影のハープ』の美しい音色で、歌っていたのでしょう? きっと、そのモグラさん、素敵な声なのですわ……。」 「アレは、イシュマウリが弾いていたから、美しかったのであって……!!」 わいわい騒いでいると、トロデ王が俺達を呼びに来た。 取り敢えず、今は外交中なのだ。 ドン・モグーラの事は後にしよう……と、思ったのだが、 実際には、そうもいかないらしい……。 |
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