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買い物に……と、
ククールに連れて来られた先は、『リブルアーチ』の町。

確かココは、ハワードさんや、ライドンさんの家があるんだ。
過去に『賢者の子孫チェルス』さんの不幸があった、悲しい場所でもある……。
謹んで、彼のご冥福をお祈りします……。
ハワード邸の前で、俺は胸の上で十字を切った。
横のククールも同じ様に、十字を切る。

見ると、黒犬レオパルドの居た犬小屋も空っぽで、
何か物悲しさを感じる。
ゼシカがラプソーンに操られていた事件も含め、
正直俺は、この街では明るい気持ちにはなれない……。

「ククール。
 確かにリブルアーチは、お店が揃ってるけど、
 行くんならオークニスか、
 サザンビークのバザーでも良かったと思うけど……。」

普通に意見を告げると、ククールは「ちっちっち」と指を振る。
その表情は得意気で、何かを企んでいるようにも感じられる。

「解かってねえなあ。
 エイト。」
「何がだよ。」
「『ホワイトデー』には、『下着』をプレゼントするんだよ。」

__……。

……確か、この町で売ってるのは『魔法のビキニ』だけど……。
白い目で、ククールを睨みつける。
だが、彼は胸を張ってビクともしない。
今日は、強気だよな〜〜〜……。
嘆息し、項垂れる。

……ん?
ま、まさか……!?

「まさか、ミーティアに『魔法のビキニ』を贈れと……!?」
狼狽しながら、俺はククールに詰め寄る。
当の本人は、そっぽを向き、まるで知らん顔だ!!
と、その時だった。

「おや?
 エイトではないか。」

ハワード邸で騒いでいる声が聞こえたらしく、
ハワードさんが家から出てきてしまった。
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