<3>
サザンビーク城内。
謁見(えっけん)の間。

クラビウス王は、大臣以外の全ての部下を引かせ、俺達4人を迎え入れた。

「エイトに、サザンビークの王位を継いでほしいのだ。」

王は、真剣な表情で、
……しかし、申し訳なさそうに言う。

思わず驚愕したが……。

「たしかに、ソレが賢い選択だな。
 丁度、エイトは『帝王学』マスターしたところだし。」
ククールが腕組をしながら、何度も頷く。
ヤンガスとゼシカも同様に頷いている。

……て、皆さん。
そこは、否定するところでしょうが!!!!
それに国王になりたくて勉強していた訳ではないし。
頑張れたのは、ミーティアの為でもあった訳で……。

「いえ。
 お気持ちは有り難いのですが、俺の故郷は『トロデーン』です。
 それに『サザンビーク』は、俺の器(うつわ)ではありません。」

俺が断ると、クラビウス王は「やはり……。」と俯いた。

「せめて、チャゴスがもっとしっかりしてくれたら……。」

「彼は、ココでも相変わらずなんですか?」

「全然、変わっていない。
 ……エイト?
 今、『ココでも』と言ったな。
 まさか、『トロデーン』でも迷惑をかけているのか?」

口が滑った……!!
思わず自分の口を押さえたが、
時既に遅く、俺の言葉にクラビウス王が素早く反応する。

「いったい何をしたのだ!!?
 場合によっては、今後の国交に傷がつく!!!!」

段々、話がややこしくなってきた……!!
クラビウス王は、狼狽する俺に、更に詰め寄ってくる。
すると、見兼ねたヤンガスが、助け舟を出してくれた。

「王様も、そんな深刻な顔しねえで……。
 兄貴が困ってるでげすよ。」

「う、うむ……。」

「何だったら、アッシらに王子の『教育』を任せるってのは、
 どうでがすか?」

「そうか。
 その手があったな!!
 頼むぞ!!!!」

上機嫌な顔になり、クラビウス王はヤンガスの手を取った。
これが王直々の依頼となり、
俺たちは『王子教育』を引き受ける事になった。

でも……。

王の言う『教育』と、ヤンガスの言う『教育』は意味が異なると思うのですが……。
次へ
前へ
DQ8『小説』CONTENTS