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「『バレンタインデー』って、怖い日なんでげすね……。」 俺の話を聞いたヤンガスが、身を震わせる。 だが、ククールは肩を竦ませ、嘆息した。 「エイト。 お前、何か勘違いしてるんじゃないか? 『バレンタインデー』は、別にそんなに怖い日じゃないぞ?」 「でも、文献を見たら、こう書いてあったし……。」 「そうでがすよ。 兄貴の言ってる事は正しいでがす!!」 俺とヤンガスを順に見比べながら、ククールは更に深い溜め息をつく。 「お前らな〜〜。 特に、ヤンガスの方は、エイト崇拝者だしなぁ……。 いいか。俺だって聖職者だ。」 「でも、『聖堂騎士団』辞めたんでしょ?」 「いや、兄貴。 正確には『辞めさせられた』んでがすよ!?」 ヤンガスの言葉に、ククールが珍しく切れた……!! 2人の視線が衝突し、火花が飛び散る。 「うるせえよ、ヤンガス!!!! あんな、だらけた軟弱組織、こっちから払い下げだ!!!!」 「アッシは、事実を言ったまででげすよ!!? ギャンブル好きで不埒な聖職者なんて、世間には必要ないでがす!!!!」 「まあ、まあ。」 俺は、ククールとヤンガスの間に割ってはいると、彼等を制した。 取り敢えず、ククールに素朴な疑問を投げかけてみることにしようか。 ずっと、気になってたんだ。 「ところで、何でゼシカは、ココに来ていないの? 元々これは、ミーティアから言い出した話だから、 同じ女の子であるゼシカの方が、よく知ってると思うんだけど……?」 すると、ククールは急に顔面蒼白になり、首を横に振って狼狽した。 「どうしたの?」 「エイト。 そんなことすると、犠牲者が出る!! 世の中の男達が全滅する……!!」 「犠牲者?」 俺は全く訳が分からない。 ククールは静かに微笑むと、俺の背を押した。 「取り敢えず、こういうことは、最高聖職者に聞くのが一番だろ? さっさと行ってこい。」 __いったい、何だってんだ? |
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