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「悪かったよ。
 いいかげん、機嫌直せよ……。」
「……。」
ククールが謝るが、俺は無視して帰りの支度を整える。

休息に来たのに、余計に疲れた気がする……。

「エイト。休めました?」

ミーティアがニコニコしながら、俺に聞いてきた。
俺が返答に困っていると、今度はトロデ王が笑顔で言葉を繋ぐ。

「でも、これで『トロデーン城』の方が良いと解かったじゃろ?」

__確かに……。
   今まで、平和ボケしていて気がつかないことって沢山ある。

俺は王に向かって、苦笑しながら頷いた。

本当。
平和っていいものだ。

……と。
ククールが腰に拳を当てつつ、俺の所に近づいてきた。

「ところで、まだ、俺はエイトに質問の答えを貰っていないんだが……。」
「それは、ご想像にお任せします。」
「想像ってなんだ!!?
 『肯定』なのか、『否定』なのか!!?」

俺は、五月蝿(うるさ)いククールの発言に両手で耳を塞ぎつつ、
グルーノの方を見た。
すると、祖父は再びネズミのトーポに姿を変え、
俺の上着のポケットに入り込んだ。

「じゃ、帰るとしようかの。」
トロデ王の言葉に、一同が頷く。

まあ、確かに気分転換には、なったよね。
俺も、城ばかりいないで、たまには外に出なくっちゃ。
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