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「……。」
「……。」

天の祭壇、最奥部。
竜神王の御前で対峙(たいじ)している、銀髪の若者が1人……。

だが……。
この空しく心の隙間に吹きすさぶような砂風はいったい……!?
と、とにかく彼を引き戻さないと……!!

「ククール!!!!
 何やってんだ!!!!
 帰ろう!!!!」

俺は、祭壇に駆け上がりククールの腕を引っ張る。
しかし、彼はその手を振り払って、俺を見た。
その表情は真剣そのものである。

「エイト。
 俺とアイツのどっちが『美男子』だ!?」

__……はい?

な、何言ってるんだコイツは……!!?
俺は狼狽しながらも、今度は竜神王に視線を移す。
……と。
彼は首を交互に鳴らし、
既に戦闘態勢に入ってしまっているではないか……!!!!

こ、これは、やばい、やばい、やばい、超やばい!!!!
俺、何にも用意してきていない!!!!

「エイト。何も武器を装備していないとは、馬鹿にしているのか?
 よかろう……。だからと言って、手加減せぬからな……。」

ち、違います!!!!
それに何で矛先が、いつの間にか俺に向いているの!!!!?

「エイト。お前、『格闘スキル』マスターしているじゃねえか。」

ククール〜〜〜〜〜〜〜、俺を、けしかけるな〜〜〜〜〜〜!!!!

「行け!!!!
 『ゴッドハンド』(筆者クリア後の獲得称号)の名を汚すな!!!!」

「そんな『称号』なんていりません!!!!」

「エイト。来るのか、来ないのか?」
今度は指を鳴らしながら、竜神王が静かに睨んでくる。
そんなつもり、更々無かった俺は、思わず狼狽した。

「だから、何で俺に聞くんですか!!!!?」

抗議しても、ククールの茶々が入る。

「エイト。もう、『はい』か『いいえ』の選択肢しかないぞ。」
「『RPG』だからな……。」
2人とも、何言ってるのかさっぱり解からない……。

「まあ、まあ。
 竜神王様。落ち着いてくだされ。」

俺達の間に割って入り、グルーノが煙と共に現れる。
理解ある祖父のおかげで、何とかこの場は、しのいだのだった……。

……まったく、死ぬかと思った……。
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DQ8『小説』CONTENTS