「ボロボロじゃな……。」 トロデ王の課題である『経済学』の、俺のテスト結果は敢え無く敗退。 だって、一週間で50冊は、(多分)天才でも無理だと思うわけで……。 ……って、 言い訳にしか聞こえないかな。 俺は、心で苦笑した。 |
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「エイト。 最近、ちゃんと休んでいますか?」 これから近衛隊長としての仕事をしようと、 朝の身支度をしている俺の顔を覗き込んで、ミーティアが聞いてくる。 彼女は、相変わらず心配性なのだ。 「大丈夫ですよ。」 俺は、苦笑してミーティアに言ったが……。 「エイト。ミーティアに『敬語』も止めてください!!」 逆に怒られてしまった……。 だって、『敬語』は癖になっているんだよな〜〜〜〜……。 別に選んで使っている訳では無いのだけど……。 ちらっと、彼女に視線を移すと、例に倣(なら)って瞳が潤んでいる!! 「わ、わかりまし……じゃない!! 解かったから、泣かないで。ね?」 「よお♪ 相変わらず、泣かせてるな〜〜〜。」 不意に、最も聞きなれた男の声がする。 俺は、思わずしかめっ面で、その声の主を見た。 「ククール……。」 俺が、名を口にすると、ククールは「やれやれ」と肩を竦(すく)ませる。 「本当、『色男』ってお互い辛いよな〜〜。 お前の苦労は、よおぉぉぉっく解かるぜ!! 俺も、いったい何人の女を泣かせてきたか。」 彼の演説が長くなりそうなので、俺は途中で遮ることにする。 「じゃなくて。 何か、今のお前の行動について、『不審に思うこと』は無いか?」 すると、ククールは不思議そうな顔をした。 俺は、ミーティアと並んで彼を見ている。 彼は相変わらず、首を傾げ、周囲を見回しながら理解に苦しんでいる。 「今、『朝』ですよね……?」 ミーティアが、その『不審』さに気がつき、真っ先に口を開いた。 すると、ククールは、ぽんっ……と手を叩く。 「あ。そうだったな。」 やっと気がついたようだ。 俺は、思わず嘆息し項垂れる……。 「確かに悪かった。紳士として有るまじき行為だったよ。」 「解かってくれたら、いいんだよ……。」 ククールは俺達の前に向き直る。 そして、あろうことか、ミーティアの手を取り。 「挨拶忘れていました。おはようございます♪」 と、言ったではないか!! ミーティアは唖然となり、絶句する。 その事により、俺のテンション(怒り)のボルテージが一気に上昇した!! 「やっぱり解かって無かったかああああああああああ!!!!」 この時、外から『トロデーン城』を見た人は、 城から天に向かって『火柱』が上がったと皆で言う……。 そして、俺の目の前には、黒こげのククールが居たのだった。 また、やってしま……。 「……おい、こら……。 まだ、生きてるって……。勝手に殺すな……!!」 俺の思考を遮って、ククールが抗議した。 |
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