<3>
ミーティア姫は、リーザスの外へ出ており、木陰で泣いていた……。

__俺の所為だ……。

俺は、彼女の肩を後ろから抱き締めた。
そのままの体勢で、ミーティア姫は俺に話しかける。

「……エイトは、ミーティアが王女だから、『名前』で呼んでくれないのですか?」

「……違うよ。」

長い事そう呼んでいたから、呼びなれてしまって……。
なんて言えるわけない!!

「じゃあ、呼んで下さい……。」
「……う、うん……。」

ミーティア姫が澄んだ瞳で、真っ直ぐ俺を見つめてくる。

だ、駄目だ。
ドキドキしてきた……。
可愛い……。
本当、可愛すぎるって……。

「ミ、ミー……」

まるで、これから口付けしかねない体勢になって、
俺は彼女の肩を抱き……。

「あ。
 兄貴!!」

とんでもない邪魔が入った。
俺は、がくっ……と項垂れる。

ヤ、ヤンガス〜〜〜〜〜〜!!
ひ、人がせっかくぅぅぅ〜〜〜〜〜〜……!!

「あ〜あ。いいところだったのに。」
ククールとゼシカが岩陰から出てくる。

……って、お前ら見ていたのか!!

「バレちまったもんは仕方ない……。
 エイト。俺たち見ていてやるから、遠慮なくやれ!!」
「GO!GO!でがす!!」
すっかり開き直って、ククールとヤンガスがけしかける。

俺はというと、恥ずかしさと怒りの為に、テンションが上がり続けていた……。
体中から電撃の火花が飛び散っているが、怒りのあまり気にならない。
俺が睨み付けると、2人は驚愕し、震え上がった。

……だが。

「出来るかあああああああああ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」

その後、俺の記憶は無く、
気が付くと『黒こげ』になったククールとヤンガスの姿があり、
ゼシカに蘇生呪文『ザオリク』をかけてもらっていたのだった。

……また、やってしまった。
次へ
前へ
DQ8『小説』CONTENTS