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「『オークニスの町』のマップでは、
 地下に薬師グラッドさんの家があったよね。」

「町長さんが部屋を貸している……が、正解だけどな。」

「そんな事言って、ククールもそう変わらないと思うけど?
 トロデーン城に、いつの間にか住みついちゃってるし。」

思わずククールが抗議しようと口を開くが、
それより俺は、町の人たちの視線が気になっていた。

歩く度にガチャガチャ鳴る、武者のような紅い『竜神の鎧』と、
大きすぎる角が印象的な、紅い『竜神の兜』。
どれも異国風の異質な感じが拭えない……。
そんな装備をしている俺が珍しくて仕方ないのだろう。
無理も無い……。

「やっぱり、『竜神』シリーズが、目立つんじゃないか?」

解かりきった事だが、ククールが俺の耳元で小さく囁く。

「でも、格好いいと思うんだけどな……。」

この装備で最強剣技『ギガブレイク』を放つと、格好良い気がするし。
正直なところ、俺は気に入ってるんだよな〜〜……。

「……確かに、気に入ってないと、ソレ(竜神装備)は着れないだろ。」

妙に納得して、ククールが頷く。
とにかく、今は俺の『五月病』を治す薬をグラッドさんに、
作ってもらわないと。
……でも、五月病に効く薬なんて、本当に有るんだろか?

「ねえ。ククール。
 本当に『五月病』に効く薬なんてあると思う?」

不審に感じ、問うと、彼は苦笑しながら答えを返してきた。

「俺は『そんな物は無い』と思っている。」

__!!!!?

驚愕して、呆れたが、
ココまで来て、何もせず帰る訳にもいかない。

……まったく!!
何考えてるんだか……。

「とにかく、無駄足だけは嫌だから、俺は行くよ。
 グラッドさんに会ってから帰ってもいい筈だから……!!」

不機嫌そうに言ったが、
何故かククールの表情が微笑に変わる。
俺、何か変な事でも言ったのだろうか?
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