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教会。 新郎であるアクシズが、慣れぬ正装に窮屈そうに佇(たたず)む。 嘆息すると、幼馴染のディートが、彼を窘(たしな)めた。 「……アクシズ!! きついでしょうが、大人しくして下さい……!!」 「五月蝿い!!」 格式ばった事は苦手だが、アイリの夢を叶える為である。 「な〜〜〜に、やってるんですの!! アイリが来ますわよ!! アクシズ様、しっかりして下さいませ!!」 今度は、脳天からリオに怒鳴られた。 抗議しようと、口を開きかけた時、教会の扉が開く。 驚愕したディートとリオが、慌てて席に着く。 __……。 純白のウェディングドレスを身に纏い、 裾まで広がる絹のベールを従え、 慎ましやかに顔を上げる。 美しいアイリの花嫁姿に、アクシズは我を忘れて見惚れてしまう。 神父が促す。 慌てて姿勢を正すと、彼は立ち位置に戻る。 「……アイリ。 本当に、綺麗ですわ……。」 リオが呆然と呟く。 花嫁は、父に手を引かれ、入場する。 ゆっくりとヴァージンロードを歩み、やがて花嫁は、花婿の隣に立つ。 オルテガが席に着いたのを確認すると、神父が小声で問う。 「ヴァンベルトと、クライン。 どちらも、代々伝わる勇者の家系と聞いた。 どちらのラストネーム(苗字)を使用するのかな? それとも、ファーストネーム(名前)で呼んだ方が良いかな?」 「ファーストネームで、お願いします。」 __勇者としてでなく、1人の女として、アクシズと結婚したいから……。 凛としてアイリが告げると、神父は頷いた。 一呼吸置くと、彼は問いかけを始める。 「アクシズ。 汝は、病める時も、いかなる苦難の時も、 アイリを妻とし、一生涯の愛を約束すると誓いますか?」 「はい。 誓います。」 顔を上げ、胸を張り、アクシズは力強く断言する。 途端に喜びが込み上げ、アイリの胸が熱くなる。 やっと、自分の夢が叶うのだ。 「アイリ。 汝は、病める時も、いかなる苦難の時も、 アクシズを夫とし、一生涯の愛を約束すると誓いますか?」 「……はい!! 誓います。」 神父に促され、互いに向かい合うと、 アクシズはアイリの左手の薬指に『結婚指輪』をはめる。 余談であるが、この指輪は、アクシズの今は亡き両親の形見であり、 「守るべき人が現れたら渡しなさい。」と、 最後に父・サイモンが息子に与えたものである。 丁寧に顔が見えるほどにベールを捲(めく)り、 彼女の肩を抱き寄せ、誓いの口付けを交わす。 同時に拍手と喝采が湧き上がり、教会内が歓喜の渦に包まれた。 2人は本当に結ばれたのだ。 幸せと喜びに満ちた表情で、アクシズはアイリと顔を見合わせた。 |
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