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天界。 『ゼニスの城』。 混乱を起こしたことを詫び、 謁見の間で跪(ひざまず)く勇者達を制し、 ゼニス王は満面の笑みを浮かべる。 視線は、勇者アイリに向けられている。 「この旅で、己の全てを悟ったようじゃな……。 辛かったじゃろう?」 全てを見透かした言葉に、彼女の胸が熱くなる。 王は更に語り続ける。 「いずれにせよ、遥か未来。 天界は、この世から見えなくなるじゃろう……。 信仰心が薄れ、我々の存在を忘れてしまう時代が来よう……。 それはそれで仕方ないことじゃ……。」 人間は物質的に豊かになると、『何か』にすがる必要が無くなる。 しかし、それは同時に大切な『何か』を失う事にも繋がる。 「じゃが、たとえ見えなくなっても、 我々はそなた達の心の中に存在している。 それだけは忘れぬようにな。」 気が付くと、勇者達の後方に天空人達が集い、温かい微笑みを浮かべている。 智天使ケルビンや、堕天使として人間になったミハエルとガブリウル。 一足先に地下世界へ行ったアズライル。 滅びてしまった死の天使サムエル。 思えば、不思議な出会いであった。 おそらくこの話を地上界の者達にしたところで信じてもらえまい。 その所為だろうか? 『ロト』の『冒険の書』には何故か、 この事については記されていなかった。 スラリン(スライム)を肩に乗せたエビル(バラモスエビル)が、 アクシズ達の所へ歩み寄ってくる。 彼等をパーティに加え、天空の民達に別れを告げると、 『竜の女王の城』へ向かう。 『竜の女王』が崩御され、主の居ない城。 勇者アイリの先祖『地竜ヴァンベルト』。 勇者アクシズの先祖『天竜クライン』。 全てを統べる『神竜』。 三種の竜神達のレリーフが城を守るかのように、飾られている。 |
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