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「あ〜あ。
 アクシズに、ふられちゃった♪」

堕天使候補から、完全に人間になってしまったガブリウルが、
両手を後頭部で組み、明るく微笑む。
精霊神ルビスと勇者アイリの遣り取りを見ていたのは、
仲間達だけではなかったらしい。
険しい顔で、ゼニス王が歩み寄る。

「お前達が、再び人間として頑張るのならば、
 もう一度『天空人』として戻れるのだぞ?
 ソレを聞かずに、さっさと地上界に降りてしまったから、
 こうなったのじゃ!!」

叱咤され、アズライルとミハエル、ガブリウルの目が点になる。
だが、サムエルは滅んでしまった……。
重い表情で俯くと、意を決したように顔を上げ、
アズライルは勇者達に向き直る。

『勇者の魂』は、アクシズ、アイリ、オルテガの3人。
その内、1人が、『ルビスの剣』を使いこなした。

「……凄いな、お前。
 俺が使いこなせなかった剣を、いともアッサリ使っちまった。」

アズライルの姿を見とめ、
アクシズは宝剣を返そうとしたが、制して止めさせる。

「ソレは、お前の物だ。
 剣は『使い手』を選ぶ。
 俺は選ばれなかっただけに過ぎない……。」

「……地上界に行くのか?」

「いや、俺は地下世界へ行く。」

問いに答え、アイリから受け取っていた『邪神の像』を目の前まで持ち上げ、
アズライルは苦笑した。

「コレを『ロンダルキアの祠』に返さねばならない。
 再び『聖域』から持ち出す、俺みたいな奴を見張る為にもな……。」

「俺も……。」

言いかけて止める。
アイリの視線に気付き、アクシズは彼女を安心させるように微笑んだ。

「後から、アイリと一緒に、地下世界へ行く。
 その前に、天界と地上界で、やっておかなければならない事があるんだ……。」

『竜の女王の卵』を取り戻せなかった事に対する、神竜への謝罪。
ゼニス王に、『ロト』の称号による天界ダンジョン化の謝罪。
思い起こせば、謝罪ばかりである……。
嘆息したが、嫌な気分はしなかった。

__アイリと『結婚式』を挙げてからだよな……!!

勇者2人が地下世界に行くのは、それからでも遅くない。
今度こそ、彼女の夢を叶えてあげる必要がある。
その為に、自分はいままで頑張ってきたのだから……。
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