<7> | ||
「ルビス様、待って下さい!! お願いがあります。」 天界。 『ゼニスの城』。 今にも消えようとする、精霊神ルビスを呼び止め、 勇者アイリは駆け寄った。 彼女の腕には『邪神の像』が抱えられている。 勇者に視線を移し、女神は見透かしたように優しく微笑む。 少し恥じらい、それでもアイリは凛として告げた。 「私は、貴女と同じ過ちを犯しました……。 でも、今後は子孫達が、そんな過ちを犯すことはありません。 それは……。」 『貴女が、[私の愛しい人]と結ばれるからですね?』 「……はい。」 許されぬ、神同士の恋愛が招いた混乱ならば、 転生した者同士が結ばれ、子供が産まれた場合、 呪われた円環は断ち切られる。 『魔界の扉』も『時空の歪み』も鎮まるであろう……。 だが、数百年の後、『ロト』の血が薄くなると、 子孫同士が結ばれるかもしれない。 「もし、私の子孫が、貴女を訪ねてきたら、約束して欲しいのです。 彼等を支援してやってくれると……。」 優雅に頷くと、精霊神ルビスは両腕を胸の上で掲げ、光を収束させた。 光は一枚のタペストリーとなり、勇者アイリの手に渡る。 タペストリーには、 『太陽』 『月』 『星』 『水』 『命』 を象った紋章が描かれている。 『この紋章が再び1つになれば、 私は、彼等に力を貸すでしょう……。』 今度こそ、ルビスの姿が本当に消える。 アイリがタペストリーを抱き締めると、 紋章は裂かれたようにバラバラになってしまった。 驚愕すると、弾かれたように周囲を見回す。 仲間達はというと……。 初めて目にした『精霊神ルビス』の美しさに言葉が見つからず、 ただ呆然としているだけであった。 |
||
■次へ ■前へ ■『DQ3』外伝CONTENTS |