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「ルビス様、待って下さい!!
 お願いがあります。」

天界。
『ゼニスの城』。

今にも消えようとする、精霊神ルビスを呼び止め、
勇者アイリは駆け寄った。
彼女の腕には『邪神の像』が抱えられている。
勇者に視線を移し、女神は見透かしたように優しく微笑む。
少し恥じらい、それでもアイリは凛として告げた。

「私は、貴女と同じ過ちを犯しました……。
 でも、今後は子孫達が、そんな過ちを犯すことはありません。
 それは……。」

『貴女が、[私の愛しい人]と結ばれるからですね?』

「……はい。」

許されぬ、神同士の恋愛が招いた混乱ならば、
転生した者同士が結ばれ、子供が産まれた場合、
呪われた円環は断ち切られる。

『魔界の扉』も『時空の歪み』も鎮まるであろう……。

だが、数百年の後、『ロト』の血が薄くなると、
子孫同士が結ばれるかもしれない。

「もし、私の子孫が、貴女を訪ねてきたら、約束して欲しいのです。
 彼等を支援してやってくれると……。」

優雅に頷くと、精霊神ルビスは両腕を胸の上で掲げ、光を収束させた。
光は一枚のタペストリーとなり、勇者アイリの手に渡る。

タペストリーには、
 『太陽』
 『月』
 『星』
 『水』
 『命』
を象った紋章が描かれている。

『この紋章が再び1つになれば、
 私は、彼等に力を貸すでしょう……。』

今度こそ、ルビスの姿が本当に消える。
アイリがタペストリーを抱き締めると、
紋章は裂かれたようにバラバラになってしまった。
驚愕すると、弾かれたように周囲を見回す。

仲間達はというと……。

初めて目にした『精霊神ルビス』の美しさに言葉が見つからず、
ただ呆然としているだけであった。
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『DQ3』外伝CONTENTS