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「大丈夫?」 アイリの『夢の世界』から、『現実』に呼び戻され、アクシズは瞳を開く。 包むように片手を握り締め、 彼に回復呪文『ベホマ』を施したのは、アイリ本人だった。 上体を起こし、愛しい少女を抱き締める。 沈黙する一同と、佇(たたず)むように存在する光。 状況が明らかに変化している。 若き勇者2人は互いの身を離し、光に視線を移した。 『精霊神ルビス。 復活したらしいな……。』 『破壊神』が、苦虫を噛み潰した表情になる。 意に介せず、女神は淡々と語り始めた。 『破壊神シドー……。 懲りないようですね……。 貴方は気付かないのですか?』 『何がだ?』 『貴方は、私には勝てません……。』 女神が両腕を翳(かざ)すと、周囲にホログラムの如く魔法陣が描かれる。 魔法陣は立体感を持ち、徐々に構築されていく……!! 顔を引きつらせ、逃げようとする闇の天使を、ルーン文字の輪が捕らえた。 神々の闘いに驚愕し、呆然となる周囲。 一同は言葉を忘れ、その場に立ち尽くす。 『シドー。 貴方は、貴方を崇拝する、 一番大切な生命体を取り込んでしまった……。』 そう。 神々のエネルギーは『人々の信仰』である。 一番の信者であった『死の天使サムエル』を取り込んでしまった為、 『破壊神シドー』は思うように力を発揮出来ずにいた。 コレは、加護するガイア神が幽閉されている為、 勇者サイモンとその息子アクシズが、能力を発揮出来なかった事実とは異なる。 魔法陣は、容赦なく『破壊神』を取り囲み、 再び『邪神の像』に封印していく。 闇の天使も同時に、粉雪のように空へ消えていく。 ルビスの放った聖なる風は、暗闇を流すように掻き消し、 城内の天空の民達の石化が解け始めた。 雲海の隙間から太陽光が射し始め、神々しく輝く。 その美しい光景は、地上界の生きとし生ける者達の目に止まり、 皆、笑顔で天を見上げていた。 |
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