<6>
「大丈夫?」

アイリの『夢の世界』から、『現実』に呼び戻され、アクシズは瞳を開く。
包むように片手を握り締め、
彼に回復呪文『ベホマ』を施したのは、アイリ本人だった。
上体を起こし、愛しい少女を抱き締める。

沈黙する一同と、佇(たたず)むように存在する光。
状況が明らかに変化している。
若き勇者2人は互いの身を離し、光に視線を移した。

『精霊神ルビス。
 復活したらしいな……。』

『破壊神』が、苦虫を噛み潰した表情になる。
意に介せず、女神は淡々と語り始めた。

『破壊神シドー……。
 懲りないようですね……。
 貴方は気付かないのですか?』

『何がだ?』

『貴方は、私には勝てません……。』

女神が両腕を翳(かざ)すと、周囲にホログラムの如く魔法陣が描かれる。
魔法陣は立体感を持ち、徐々に構築されていく……!!
顔を引きつらせ、逃げようとする闇の天使を、ルーン文字の輪が捕らえた。

神々の闘いに驚愕し、呆然となる周囲。
一同は言葉を忘れ、その場に立ち尽くす。

『シドー。
 貴方は、貴方を崇拝する、
 一番大切な生命体を取り込んでしまった……。』

そう。
神々のエネルギーは『人々の信仰』である。
一番の信者であった『死の天使サムエル』を取り込んでしまった為、
『破壊神シドー』は思うように力を発揮出来ずにいた。
コレは、加護するガイア神が幽閉されている為、
勇者サイモンとその息子アクシズが、能力を発揮出来なかった事実とは異なる。

魔法陣は、容赦なく『破壊神』を取り囲み、
再び『邪神の像』に封印していく。
闇の天使も同時に、粉雪のように空へ消えていく。
ルビスの放った聖なる風は、暗闇を流すように掻き消し、
城内の天空の民達の石化が解け始めた。

雲海の隙間から太陽光が射し始め、神々しく輝く。
その美しい光景は、地上界の生きとし生ける者達の目に止まり、
皆、笑顔で天を見上げていた。
次へ
前へ
『DQ3』外伝CONTENTS