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「アイリ……!!
 奴は、俺が引きつけておく!!」

傍らの勇者アイリを制し、勇者アクシズが先頭に立つ。
後方には仲間達が控え、援護する為、各自戦闘態勢に入っていた。

『聖なる守り』は、『精霊神ルビス』の『愛の証』。
呼び出せるのは、加護を受けるアイリのみで、
他の者には不可能である。
血筋は勿論のことだが、それは『ロト』でなければいけないらしい……。
胸に掲げた『聖なる守り』を握り締め、意識を集中する。

『余を封印するつもりか……!!』

__そうはさせん……!!

阻止しようと黒翼を広げ鷹の如く突進する『破壊神』を、
勇者アクシズが『ルビスの剣』の平で受け止める。
予想外の重い衝撃に、勇者の踵(かかと)が後方へ滑る……!!

空中の敵と、地上の味方、……と。

「アクシズ!!
 指揮を執って下さい!!」

闘う彼等の後方で、仲間達の前に立ち、
賢者ディートが援護の為、呪文詠唱の構えを取っている。
気付くとアクシズは叫んだ。

「『ピオリム』詠唱!!
 最大までやってくれ……!!!!」

精霊神ルビス呼び出しを速める為であろう。
頷くと、ディートは何度も素早さ上昇呪文『ピオリム』を詠唱する。
次第に勇者達の視界にある相手の動きが、ゆっくりと変化する。

口の端を上げ、挑発するように微笑すると、
アクシズは『ルビスの剣』を横に薙ぎ払った!!
剣が唸りを上げ、電撃呪文『ギガデイン』級の雷撃を呼ぶ……!!

『……!!』

身の危険を感じ、咄嗟に『破壊神』が抵抗する為、
アクシズを中心に爆発呪文『イオナズン』を詠唱した。
放電と爆発が同時に起こる……!!

「アクシズ〜〜〜〜〜〜!!!!」

思わず仲間達が絶叫する。
爆煙が視界を遮る。
その時だった。

__ルビス様……!!

勇者アイリの『祈り』は頂点に達し、周囲を眩い光が覆う……!!
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『DQ3』外伝CONTENTS