白く輝く大地に佇む勇者達。

レイアムランドは、不死鳥ラーミアの産まれし聖地であり、
『魔界の扉』に繋がっていた。
神の領域を、人間が勝手に解釈するなどおこがましい。
消えた魔界の跡地を振り返り、賢者ディートは目を細めた。
<1>
「僕は……。」

言いかけて、止まる。
拳を握り締め俯くディートを助けるかのように、僧侶リオは微笑んだ。

「ディート様。
 言ってくださいませ。
 思ったことを素直に……。」

気が付くと、仲間達に注目されている。
意を決し、賢者は自分の思考をそのまま語り始めた。

「僕は、正直、神様を信じていませんでした……。
 今まで見てきた神様だって、僕の思っていた神様じゃない……。
 じゃあ、神様って何なのだろう……って、ずっと思ってきました。」

それは、超越した存在なのか?
……いや、必ずしも、そうとは言い切れない。
何故なら、それが『神』なら、神竜を超える力を持った、
アスラゾーマを倒した勇者達がそうなってしまう。
神竜も、グランドラゴーンも、精霊神ルビスさえも、
『人間と同じ感情』を持っていた。
彼等の過ごす世界で『神』と呼ばれる存在は、
どちらかと言えば『神という種族』扱いになっている。
結論は時には出さない方が、正しいこともある。

一瞬考えさせられ、沈黙が周囲を覆う中、
リオは自分の胸を指差し断言した。

「神様は私達の中にいますわ!!
 誰だって、『神頼み』しますし……って、どうしたんですの?」

言い終わるのを待たず、
失笑してしまう仲間達に視線を移し、小首を傾げる。

番人オグルに託された『ルビスの剣』を腰の鞘に収め、
勇者アクシズが口を開いた。
苦笑しながら。

「リオらしい、お気楽な意見だが、的は射ている。
 だが今は、天界に住む神様を助けてやらなければならない。
 まったく……。
 俺達には『神頼み』すら許されないらしいぞ?」

嘆息し、傍らの勇者アイリに視線を移す。
緊張した面持ちで、彼女は頷いた。

勇者達に課せられた使命は、天界へ行った『破壊神』の封印。

今回は、瞬間転移呪文『ルーラ』使用者全員が、
『ゼニスの城』へ行ったことがある為、
代表で賢者ディートが詠唱することとなる。
彼の『ルーラ』到着が一番確実で、速いからだ。
次へ
この前の[SCENE_18]へ
『DQ3』外伝CONTENTS