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「夢でも、見ていたのだろうか……?」 消えた門の前で佇(たたず)み、戦士クリスが呆然と呟く。 彼女の言葉が気になり、勇者アクシズは腰に掛けた『ルビスの剣』を見る。 気が付くと、アイリが神妙な面持ちで自分を見つめていた。 視線が合う。 「……結局、助けられなかった……。 もし私が、その場で『覚醒』すれば、 助けてあげられたかもしれないのに……。」 俯き、瞳を揺らす。 歩み寄ると、アクシズは優しく彼女の肩を抱き寄せた。 「じゃが、助けられるモノはある。 それは今で無ければ出来ぬし、一刻を争う。」 消えた門の前に立ち、番人オグルは勇者達7人に視線を移した。 怪訝そうな表情で、僧侶リオが問い質す。 「一体、これ以上何だっていうんですの? どうも、さっきから闘ってばかりいる気がしますわ!!」 「まあ、まあ。 ココに来る『お嬢さん』方は美人ばかりじゃが、 どうも気が強くて馴染めん。」 「何ですって〜〜〜〜〜!!?」 「そうそう、ソレが『気が強い』というのじゃて……。」 いきり立つリオを制し、オグルは嘆息した。 確かに、よほど血の気が多くなければココへは来ない。 念を押すように番人オグルは、勇者達に重要事項を告げる。 「よいか。 死の天使達は言っておった。 『天界で待っている』とな……。」 周囲に緊張が走る中、番人の視線は、勇者アイリへと移る。 「『ロト』の力がどうしても必要だと言っておった。 美しいお嬢さん。 彼らの事、頼めるかな?」 意味も無く褒められ、調子を崩し狼狽したが、アイリは力強く頷いた。 今、死の天使アズライル達は、 サムエルを乗っ取った『破壊神』と闘っている。 もう一度、精霊神ルビスの力を借りて封印するには、 アイリの存在が不可欠であった。 別れ際。 番人オグルはニヤリと微笑すると、 勇者アクシズの肩に手を置き、小さく囁いた。 「『ロト』のお嬢さんが好きなんじゃろ? 力いっぱい、守ってやりなさい。 ワシが選んだのは、お主なのじゃからな♪」 |
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