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地上界。 レイアムランド。 『氷の洞窟』内で、グランドラゴーンの咆哮が上がる。 宙に舞う電撃と、火炎。 急激な温度差による爆発。 一同、気が付くと、防具が霜に包まれている。 __先ずは、この寒さをどうにかしなければならない……!! 勇者アクシズは、両手の『ガイアの剣』を氷の床に突き立て、 マグマを呼び覚ます。 地中から発生した溶岩が氷を溶かし、床本来の色を取り戻させる。 だが、この現象に驚いたのは、洞窟内の白い魔物達であった。 思わず頭を抱え、番人オグルはアクシズを止めに入る。 「何を考えとるのじゃ!!!! そんな事をすれば、魔物達が驚くに決まっておろう!!?」 「……。」 無言で返すと、オグルは1本の剣を差し出した。 嘆息すると、アクシズの腕を引き寄せ、静かな声で語り始める。 「これはな。 『ルビスの剣』といって、一振りすれば雷撃が発生するそうじゃ。 その剣では、洞窟を壊しかねんからな……。」 2人は、グランドラゴーン相手に、攻防を続ける仲間達に視線を移す。 この戦闘はアイリの『覚醒』で幕を閉じる予定らしいが、 果たして相手が約束を守るだろうか? 『竜の女王の卵』の件でさえ、うやむやにされてしまっている……。 険しい表情で拳を握り締めるアクシズの心情を悟り、 オグルは『ルビスの剣』を鞘ごと渡す。 「この世には、思い通りにいかない事の方が多い……。 じゃが、思い通りに行かない事にも、もちろん理由が有る。」 受け取り、アクシズは怪訝そうな顔をした。 「理由……?」 「お主は、この戦闘を止められるか? (『ロト』の)恋人なんじゃろ? 傍から見ておって、直ぐ解かった。」 「……。」 柄に手を掛け、アクシズは鞘から徐に『ルビスの剣』を引き抜く。 自分の目の前に掲げ、角度を変えると、 光が反射し、鋭利な刃を露にする。 静かな眼差しのまま、オグルはゆっくり彼に問う。 「もう一度、聞こう。 お主は、この戦闘を止められるか?」 『ルビスの剣』を滴る露を振るうかのように上段から下ろすと、 アクシズは彼方のグランドラゴーンを見据え、深く頷いた。 「……分からない。 だけど、俺には止める必要が有る。」 __俺は、アイリをもう、闘わせたくないんだ。 |
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