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「そんなに、この肉体が欲しいか?」 ゼニス王は、死の天使サムエルを乗っ取った『破壊神』と対峙している。 『破壊神』はサムエルの表情を冷たい嘲笑の形に変える。 『ゼニス王よ……。 堕天使候補というものは、人間と同じで扱い易いものだな……。 神の産物である天空人も、所詮、未完成品だという訳だ。』 天界。 ゼニスの城。 護衛に来た兵士達を制し、王は嘆息した。 『破壊神』はサムエルの『負』の感情を利用してココまで来ている。 「随分と言ってくれるじゃねえか……!!」 不意に聞きなれた男の声がし、天空人達が振り返る。 周囲がざわつき出す中、1人の天使が皆の前に歩み出てきた。 後方には、彼の仲間が2人。 『破壊神』は微笑する。 『アズライル。 お前には感謝するぞ。 余を、外界へ解放してくれたのだからな。』 __もう一度、『聖域』に戻してやる……!! 唇を噛み締め、両拳を握り締めると、 次に死の天使アズライルは両腕を掲げ、呪文詠唱の構えを取る。 死の天使ミハエルと、死の天使ガブリウルも、 各自武器を構え、戦闘態勢に入った。 だが、死の天使達は、堕天使候補となっている身。 天界に入った途端、徐々に変化が表れ始めた。 流石(さすが)に狼狽してガブリウルが叫ぶ。 「アズライル!! あたし達の翼が消えはじめちゃってるよ……!!!!」 構わず、アズライルは『破壊神』に向かって、 『メラゾーマ』を詠唱した。 巨大な火球が宙に浮いた闇の天使を包み、城から後退させる。 彼が戻るのを待たず、アズライルはゼニス王の手前に立った。 護衛するように。 そのままの姿勢で、王に語りかける。 「間違いに気付いた時には、いつも遅い……。 だが、償いなら、今からでも間に合うと思っている。」 「人間になる覚悟は出来ておるのじゃな?」 王の問いに、死の天使達3人は、迷い無く頷いた。 |
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