<2> | ||
__さて、大変な事になってきたのう……!! 『ルビスの剣』を抱えたまま、番人オグルは狼狽する。 地上界、レイアムランドに位置する、 『氷の洞窟』最深部。 グランドラゴーンは、 勇者アイリの『覚醒』が見たいらしく、 楽しげに思考を巡らせていた。 神の戯れであろうか……? 「どうして、貴方と闘わなければならないの……!!?」 困惑し、勇者アイリは叫ぶ。 ……が、 グランドラゴーンの5個の大口が、冷気を収束し始める。 異変に気付き、咄嗟の判断で賢者ディートが『フバーハ』を詠唱する。 魔法壁が勇者達を覆い、放出された凍える吹雪を防ぐ。 そのままの状態で、身じろぎもせずグランドラゴーンは、 アイリを全ての目で見下ろした。 彼女の表情が凍りつく。 『さて、[ロト]が[覚醒]するには、どう遊べば良いかな? 喜び、怒り、哀しみ、楽しみ……。 どれかな?』 魔界の守護神とは、もはや話し合いの出来る状態ではない!! 勇者アクシズは舌打ちすると、アイリを守る為、先頭に立つ。 __ヤケになっているように見えるのは、気の所為か? 相手は『神』だというのに? 感情に左右されるのは、人間と変わらないように感じられる。 だが、やはり守護神は普通では無かった。 宙を滑らせるように優雅に5本の首を擡(もた)げると、 グランドラゴーンは中央の首を冷たい嘲笑の形に変える。 __……『怪しい瞳』!? その行動から、『神竜』との戦闘を思い出した勇者オルテガは、 仲間達に向かって絶叫する。 「いかん!!!! 奴の『目』を見るな!!!!」 だが、時既に遅し。 『神竜』戦に出ていない、エビル(バラモスエビル)や、 戦士クリスには、この攻撃が判る筈が無く、 避ける事の出来ない睡魔に襲われ、床に崩れ落ちる……!! |
||
■次へ ■前へ ■『DQ3』外伝CONTENTS |