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「何だってんだ……!!」 神竜といい、グランドラゴーンといい、 神と呼ばれる者達の、血の気の多さに半ば呆れながらも、 自分も人の事が言えた性質(たち)ではないと、 勇者アクシズは嘆息する。 そして、傍らの勇者アイリを庇うように、手前に立つと、 背中の『ガイアの剣』を抜き放ち、構えを取った。 アイリも同じように、『勇者の盾』を左腕で構え、 『王者の剣』を鞘から抜くと構えを取る。 「アクシズ君……。 私としては、娘の手前、大変失礼して『君の自業自得』と思うのだが、 長期戦は避けられんぞ……?」 『雷神の剣』を鞘から抜きながら、 勇者オルテガが白い目で勇者アクシズを見ている。 賢者ディートも、うんうん頷きながらオルテガに同意する。 「アクシズの無茶に、 いちいち付き合わされる、コッチの身にもなって下さい!!」 「誰も拒否しなかったじゃないか……。」 グランドラゴーンを無視して、言い合いを始める勇者達。 しかし、グランドラゴーンの視線は、 勇者アイリに注がれている。 『なるほど。 [ロト]の称号は、伊達ではなさそうだな……。 どうだ? 今ここで、[地竜ヴァンベルト]の血を呼ぶことは可能か?』 いきなり『覚醒』を促され、アイリの表情が凍りつく。 『覚醒』はいつでも出来る訳では無く、 一定条件を満たさないと表れない。 ただ、その条件が問題だった……。 __極度の『怒り』……。 とまどうアイリに視線を移し、 エビルが口の端を噛む。 『条件』を言えば、この戦闘で死者が出る危険性が有る。 魔界の守護神は冷たく嘲笑すると、アイリに更に語りかけた。 『戦闘のルールを決めておこう。 [ロト]が[覚醒]するまで相手になってやろう。 最高のハンデだと思わぬか?』 自他共に認める最強ゆえ、 余裕の笑みの形を作るグランドラゴーン。 困惑の為、勇者アイリの動きが止まる。 __やれやれ、とんでもない方向へ行ってしまいそうじゃのう……。 遠目から勇者達の様子を窺(うかが)っていた番人オグルは、 真剣な表情になると、 手元に有るアズライルの残した『ルビスの剣』を見つめた。 |
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