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『氷の洞窟』最深部。 氷の内壁に、凍えるような低温。 勇者達の息が白く凍りつく。 だが、意に介せず、奥に控える巨大なヒドラの長は、 5本の首を持ち上げ、その中央の首を笑いの形に変えた。 神竜の時とは違い、最初からグランドラゴーンとは話が通じそうである。 一行の代表で勇者アクシズは、徐にヒドラ族の長の前に歩み寄る。 毅然とした態度に感心したのか、アクシズが話し掛ける前に、 グランドラゴーンが響くような低い声で語り掛けてきた。 『何様かな? [ロト]だけでなく[ガイア]の勇者まで訪れるとは、 普通の事では無かろう?』 「だったら、話が早い。 俺は、『竜の女王の卵』を返してもらいに来ただけだ。」 アクシズは神竜の名をワザと出さず、単刀直入に用件を告げた。 だが、グランドラゴーンは面白そうに笑い始めると、 アクシズを5本の首全部から見下ろす。 全ての瞳に彼の全身が映る。 『ココには無い……。 返せないと言ったら?』 __戦闘は避けられない……!! 後方でアクシズを祈るように見守っていたアイリが驚愕する。 周囲に緊張が走る。 未だ神竜に勝っていないのに、 グランドラゴーン相手に戦闘する羽目になろうとは……!! 『丁度、退屈していたところだ。 英雄達。 相手になってもらうぞ……!!』 言って、勇者達が戦闘態勢に入るのを待たず、 グランドラゴーンは巨体を生かして、のしかかってきた……!! 氷の地面にヒビが入り、水が浮いてくる……!! 寸でのところで滑るように避けた一同は、 体勢を立て直し、各自戦闘態勢に入る。 |
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