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__やっと、来たか……。

『氷の洞窟』。
『第2の門』。

勇者達を待ち切れなくなったのか、
待機していた死の天使アズライルが、
腰を上げる。

傍らには、番人オグルが控えていたが、
奥に、勇者達の姿を見とめると、アズライルを制して止める。

「……。」

無言のまま彼が振り返ると、
番人オグルが首を横に振る。

「グランドラゴーン様に、
 (勇者達を)そのままお通しするように言われておる。
 事情は分かっているのだが、勇者達にも事情があろう。
 先ずは、ソレが終わってからでも良いと思うのだ……。」

「……仕方ない……。」

番人の言葉に、目を閉じて頷くと、
アズライルは仲間である死の天使達に視線を移した。
ミハエルとガブリウルは、互いに顔を見合わせ、首を傾げる。

「脱出呪文『リレミト』で、一旦、外に出る……。
 グランドラゴーンとの遣り取りが終わったら、勇者達に伝えてくれ……。」

真剣な表情で番人オグルを見つめ、
彼は内容を告げた。

「俺達は、『天界』で待っていると……。」

一同が驚愕し、彼に注目する中、死の天使アズライルは、
自分の腰に下げた『剣』を鞘ごとオグルに渡す。
老人には重い『剣』であったが、鍔(つば)には美しい細工が施され、
刀身は鋭く、鏡の如く反射する。
オグルが『剣』の正式名称を問う。

「……この『剣』は?
 素材からして、並みの物では無いと理解出来るが……。」

刀身の輝きが、オリハルコンとも異なる。
鞘から少し出した状態の『剣』を見つめ、彼は答えた。

「『ルビスの剣』だ……。
 一振りすれば、雷撃が発生するが、実際に其処まで使用した事は無い。
 俺が天界へ戻れば、もちろんその宝剣も没収されるだろうからな……。
 勇者達に渡してやってくれ。」

「うむ。
 解かった……。」

オグルが頷くと、アズライルは仲間達を連れて、
脱出呪文『リレミト』詠唱で『氷の洞窟』を跡にした。
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『DQ3』外伝CONTENTS