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『氷の洞窟』最深部。

「モグルの爺さん、何、考えてんだ……!!」

やはり、あっさり門を通してしまった番人モグルに、
死の天使アズライルは舌打ちした。

__これでは、サムエルを追えない……!!

別に情が深い訳では無い。
彼とて冷酷な存在である。
だが、『邪神の像』を聖域から持ち出したのは失敗だったと、
今更ながら悔やんでしまう。

死の天使サムエルの力だけでは、
『破壊神シドー』の完全復活は、あり得ないだろうが、
肉体が無く、『精神』の姿だけでは、
『倒すことすら不可能』である……!!

今、死の天使達が、『破壊神』再封印を頼る相手といえば、
皮肉にも『精霊神ルビス』と直接交信出来る、
『勇者ロト』(勇者アイリ)だけであった。

「確かに『ロト』は、
 今、この『氷の洞窟』内にいるのだな……?」

グランドラゴーンの居る間を離れ、
死の天使アズライルは、仲間の死の天使ミハエルに問う。
彼(又は彼女)は頷いた。
意を決し、アズライルは彼方を見据えると、拳を握り締める。

「ココで待っていれば、来るんじゃないの?」

もう一度、勇者アクシズに逢うのを、
楽しみにしているガブリウルが、当然の様に言う。
しかし、アズライルは、彼女に冷たく言い放つ。

「ガブリウル。
 お前は、堕天使として、人間になればいい。
 俺達を裏切って逃げるのも、今のうちだ。
 ……違うか!?」

腰の鞘から剣を抜き放つと、アズライルは、
剣の切っ先をガブリウルの首筋寸前で止める。
恐怖の為、動けないでいる彼女を助けるように、
モグルの兄・番人オグルが、アズライルを制した。

「今は、仲間割れしている場合ではなかろう!!!!
 ……勇者達は確実にこの『第2の扉』目指して進んでいるのじゃ!!」

どっちにしろ、『ロト』はココに来る。
そう言いたげに口を閉ざすと番人オグルは、
ふと、自分の手に握られていた『モンスターメダル』に視線を移した。

__これでは『モンスターメダル』が揃っても、嬉しくないのう……。

小さく溜め息を漏らし、番人オグルは『第2の門』の前に立つ。

勇者達を待つ為に……。
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