<3> | ||
「……こ、これは何ですの!?」 信じられない光景に愕然となった僧侶リオが、 思わず言葉にする。 祠の中。 かつて、ラーミアの卵が置いてあった祭壇の付近に、 『旅の扉』のような次元の歪みが発生している。 祭壇には、以前のようにオーブが飾られており、 双子の妖精の少女が立っている。 少女達は、勇者アイリの姿に気が付くと、互いに同時に語りかけてきた。 「わたしたちは。」 「わたしたちは。」 「ラーミアの卵を守っていました。」 「守っていました。」 「ですが、ラーミアは『闇の世界』へ旅立ってしまいました。」 「ラーミアの居ない世界で。」 「様々な『神』が力を持ち始めました。」 双子の妖精は、同時に次元の歪みに向かって手を翳(かざ)す。 魔界と人間界との狭間の空間が、次第に巨大化していく。 真剣な表情になり、勇者アイリは妖精達を制する。 「貴女達は危ない。 下がっていて……!!」 やがて人一人通れる程の大きさに空間が開くと、1人の老人が出てきた。 驚愕し、一行は注目するが、意に介せず老人は語り始める。 「お前達か? 『勇者の魂』というのは。 一体、こんな辺鄙(へんぴ)な場所に何しに来たか知れぬが、 我が長(おさ)が大変会いたがっておられるから、仕方ないのう。」 「俺達の正体を知っているのだから、 こちらから名乗る必要はなさそうだな……。」 静かに見据え、勇者アクシズが冷静に言う。 老人は笑った。 「ふぉ、ふぉ、ふぉ……!! これは失礼したのう。 ワシは、『モグル』。 『氷の洞窟』の最初の番人じゃ。」 最後の言葉に反応し、勇者達の表情が固まる。 『氷の洞窟』の最初の番人モグルは、彼らに空間に入るように促した。 |
||
■次へ ■前へ ■『DQ3』外伝CONTENTS |