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地上界の南極に位置する氷の島。
レイアムランド。

互いに寄り添っていた氷岩魔人達が、
海岸に見知らぬ来訪者を確認すると、
霧散するように去ってしまった。

天には雲1つ見当たらない。
澄み渡った青。
白い息。
久し振りに、この地に訪れた勇者アイリ達・女性陣は、
懐かしそうに周囲を見回す。

「ココで、(不死鳥)ラーミアが生まれたのよね。」

だとすれば、グランドラゴーンの本拠地は何処に在るのであろうか?
不審に感じた勇者オルテガが、地図を広げ再確認する。
しかし、未開の地に近いレイアムランドである。
神竜から『氷の洞窟』だと伺っているものの、
実際の世界地図には『祠』の場所くらいしか描かれていない。
困った表情になったオルテガは、勇者アクシズに視線を移す。

「アクシズ君。
 神竜から『氷の洞窟』の場所は聞いているか?」

問われて、首を横に振り、アクシズは項垂れた。
『氷の洞窟』と名が付いているのならば、
『氷』の有る場所だと決まっているのだが、
レイアムランドは全面『氷』である。

……と。

突然、『祠』のある方から、天界の魔物である筈の『鳳凰』が飛び出してきた。
一行は美しい魔物に注目し、驚愕する。
勇者アクシズと勇者アイリ、賢者ディートの3人にとって、
見覚えの有る魔物である。

船を守る為、商人ミーナとスラリンが残ることとなる。
勇者達は、目的地を『祠』に定めると、
ミーナから、武器防具を受け取った。
各自装備を整える様子を見ながら、ミーナがアイリに話しかける。

「アイリ。
 無茶はいかんで……。」

「別に、そんなつもりじゃないけど。」

否定するアイリに、ミーナは嘆息した。

「まあ、とにかくやな。
 1人で背負い込もうとせず、たまにはウチらを頼っていいんやで?
 そりゃ、アクシズはんよか頼り無いかもしれへんけど……。」

勇者ロトである彼女が、思い詰めているのが傍目からでも理解出来たのだろう。
アイリは苦笑すると、自分より小柄なミーナを抱き締めて優しく語る。

「ありがとう、ミーナ。
 今までだって、十分、貴女達に頼ってきたわ……。
 だって、皆、私の大切な仲間だもの。」

__だから、これからも『力』になってね。

身を離し、船から降りると、アクシズがアイリの手を取った。
彼に応えるように、彼女はその手を握り返す。

勇者達の次なる目的は、『神竜』と『竜の女王』の息子である『卵』を、
グランドラゴーンから取り戻す事だった。
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『DQ3』外伝CONTENTS