「馬鹿馬鹿しい……。
 俺は、降りるぜ。」

不機嫌そうに鋭い目を、
『魔界の守護神』であるグランドラゴーンに向けながら、
死の天使アズライルは吐き捨てるように言う。
次に彼は、仲間である死の天使に向き直り、強い口調になった。

「だって、考えてもみろ。
 俺達は元々、俺達を『堕天使』として追放したゼニス王に復讐する為に、
 サムエルに付いて行っただけだ。
 グランドラゴーン。
 俺は、アンタの為に闘う義理などない……!!」
<1>
『好きにしろ。』

冷たく放たれるグランドラゴーンの言葉。
アズライルは舌打ちすると、
踵(きびす)を返し、『氷の洞窟』を去って行こうとする。
慌てた番人オグルが、彼を呼び止める。

「どうするつもりじゃ……!!」

アズライルの足が止まった。
振り返らない。

「サムエルを捜しに行く。」

__奴は、このまま『天界』へ行く筈だ……。

たとえ肉体を『破壊神』に捧げたとしても、
サムエルの憎悪の念が消えた訳ではない。
確信が有るのか、彼の目は彼方を見据えている。
その時、苦笑しながら死の天使ミハエルが、
勇者達の現状を報告した。

「アズライル。
 残念ですが、そうもいかないようですよ?
 『勇者の魂』は、レイアムランドに到着してしまいましたので♪」

唇を噛み締めアズライルは俯く。
対照的に死の天使ガブリウルが両手を合わせて、表情を明るくした。

「やった〜〜〜♪
 勇者アクシズも来るのね♪」

何と、監禁時の勇者アイリから聞いたのか、
彼女は『お気入りの勇者』の名を覚えてしまったらしい。
おてんば娘のお気楽振りに嘆息する、他の死の天使達。

オグルの弟・番人モグルが、
グランドラゴーンに視線を移し語り始めた。

「グランドラゴーン様。
 ワシは、最初の『門』に戻ります。
 早く、『モンスターメダル』が欲しいゆえ……♪」

さも、嬉しそうに……。
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