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「とにかく、無事で良かった……。」 アイリの肩を引き寄せ、アクシズは再び彼女を抱き締めた。 今までの虚勢から解放され、幸せそうな勇者アイリの表情に、 ライガ(ライオンヘッド)がまた、首を傾げる。 抱擁中のアクシズに問う。 「お前が、『王者の剣』の製作者か?」 徐に彼女から身を離すと、 勇者アクシズは苦笑して魔物に答えた。 「俺は、『火』(マグマ)を担当していただけだ。 たいそうな事はしていない。」 「だが、アイリは、 お前が『命を削ってまで作った大切な剣』と言ったぞ?」 「アイリが……?」 驚愕したアクシズは、アイリを見つめるが、 当の彼女は、恥ずかしさの余り、顔を真っ赤にしながら、 ライガの鬣(たてがみ)を引っ張っている。 その様子を見た賢者ディートが、 苦笑しながら『次の目的』を達成するべく語りかける。 「まあ、まあ。 無事、アイリさんも見つかったのですから、 『次の目的』に行かないといけませんね。」 「次の目的?」 意外そうに問うアイリに、今度はアクシズが説明した。 「バラモス城に居る、『エビル』(バラモスエビル)を奪還するんだ。 心配しなくても、『神竜』から全てを聞いて、知っている。」 「『神竜』に会ったの? いいなぁ……。」 残念そうに言う、アイリ。 どうやら、自分も会って見たかったらしい……。 旅の目的と、今まで有った出来事を、彼女に説明しながら、 困ったように、アクシズとディートは互いに顔を見合わせた。 まさか、天界の騒動の原因が、 勇者ロト・アイリにもあることなど言えまい。 その気まずい雰囲気を和らげる様に、ライガが彼女に問う。 「アイリ。 もう、呪文は使えそうか?」 「うん。 ついさっき、試してみたの。 もう、大丈夫みたい♪」 アイリは、回復呪文『ホイミ』で癒した指先を見せ、微笑んだ。 |
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