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「勇者アイリさんですか……? 知りませんね……。」 問われた工夫の1人が、申し訳なさそうに頭を下げる。 勇者アクシズと賢者ディートは互いに顔を見合わせ嘆息した。 地上界。 テドン。 勇者アクシズと、賢者ディートは2人で、この町に訪れていた。 勇者オルテガとスラリンは、脱出した勇者アイリが、 故郷に戻る可能性も有るということで、 アリアハンの生家に待機することになったのである。 廃墟であった筈だが、復興・再建に来たのか、昼なのに人が居る。 しかも、今回は複数だった。 周囲を見回すと、丸太の山と、様々な工具が揃っている。 ディートは困った顔で、アクシズに視線を移した。 「どうしましょう……。 こんなに人が居るなら、誰か1人でもアイリさんを目撃していても、 おかしくない状況なのですけど。」 遠まわしに彼が何を言いたいのか、傍目からでも理解できる。 重い表情で、アクシズは俯いた。 つまり、アイリは『ココには居ない』ということだった。 「こんな事なら、ゾーマ討伐完遂後、 直ぐにアイリと『結婚』しておけば良かったんだ……。」 しかし、アクシズが悩む理由(結婚に関する長男長女による、お家問題)も、 もっともであり、誰にも責められるものではない……。 ディートは、どうして良いのか判らず、つい天を見上げてしまう。 __僕には、ファザード兄さんがいたから良かったような……。 ダーマの家系で次男に生まれたディートには、そんな苦労は必要ない。 だが、忘れてはならない。 今の目的は『アイリとの再会』である。 2人は気を取り直すと、互いに顔を見合わせた。 「後、近場で考えられる所は、『ネクロゴンドの洞窟』か……。」 「久し振りですね……。 バラモス城に居る、『エビル』も奪還しましょうか?」 「求めすぎは良くないが、確かに無駄足も嫌だ。 よし、行こう……!!」 |
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