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一方、バラモス城から脱出していた勇者アイリは、 『王者の剣』を再び装備し、2つの浮島を囲む湖の前に立っていた。 牢番をしていたライオンヘッドも一緒である。 彼女は困惑した表情で、魔物の顔を見つめた。 「私の背中に乗せてやろうか……?」 思考を悟られ、アイリの顔が赤くなる。 「いいの?」 頷く、ライオンヘッド。 魔物の身体は馬より大きく、翼が有る。 アイリは素朴な疑問を投げかける。 「飛べる?」 「鳥ほどではないがな……。」 思った通りの答えに微笑み、 ライオンヘッドの背中に跨(またが)る。 「じゃあ、お邪魔します。 あ、そうだ♪」 思い付いたように、道具袋から『登山用の命綱』を取り出し、 魔物と自分を結ぶ。 ライオンヘッドは、不思議そうに首を傾げて問う。 「何をしたのだ?」 「こうすれば、貴方から落ちないでしょ?」 「私を飼う気か?」 「まさか……!!」 妙な心配を始めるライオンヘッドに、 アイリは口に手を当て、クスクスと微笑んだ。 「確かに、飼いたい位、貴方は可愛いけど……てのは、冗談ね♪ 私は、貴方にも無事でいて欲しいの。 え〜〜っと。貴方、名前は何ていうの?」 最初の冗談に狼狽しながらも、気を取り直し、 ライオンヘッドは自分の『呼び名』を告げた。 「この、ライオンにしては大きすぎる『牙』の所為かもしれぬが、 皆からは『ライガ』と呼ばれている。」 「私は、『アイリ』。 宜しくね♪ 実は私、まだ『ロト』って名前に馴染んでないの……。」 互いに苦笑し、自己紹介を終えると、 ライガ(ライオンヘッド)はアイリを背に乗せたまま、 助走を付け、高く跳躍した。 |
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