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『何故、塔を血で汚した……!!?』 厳しい口調で勇者達を問い質(ただ)す。 一同は戦いの手を止め、神竜を見上げた。 勇者アクシズは嘆息すると、 やっと話し合えそうな状態になった神の所へ歩み寄る。 「俺達は、『竜の女王の卵』の所在を確認する為に、 貴方に会いに来ただけです。」 『……。 それだけではなかろう……?』 深い声で穏やかに語る神竜に、アクシズは目を見開き驚愕する。 オルテガとディートも真剣な瞳で彼等に注目している。 もっとも暢気なスラリンだけは、 円(つぶ)らな瞳をニコニコさせているだけであったが……。 『アクシズ……。 お主は、今のワシの心情が理解出来る者のようじゃな……。』 名を言い当てられ、神の能力に驚愕しながらも、 アクシズは愛しい少女を思い出していた。 その言葉から、『竜の女王の卵』がココには無いことを悟った一同は、 重い表情で力無く項垂れる。 「……俺は、アイリの所在が知りたいだけです。 富や名誉など、いらない……。」 硬く拳を握り締め、アクシズは神竜を見据える。 視線が重なったが、神竜から怪しい瞳は発動されない。 地上界の守護神は落ち着いて状況を語り始めた。 『お前達の察する通り、ワシの息子(竜の女王の卵)はココには無い。 抵抗したが、既に呪われた名を付けられ、 魔界の守護神であり、 ヒドラ族の長である[グランドラゴーン]に捕らわれてしまった……。 奴は[レイアムランド]にある、[氷の洞窟]にいる……。』 「グランドラゴーン……?」 聞いた事の無い、魔界の神の名前。 勇者達は互いに顔を見合わせ、困惑した表情になった。 |
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