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天界。 『神竜の塔』頂上。 「……どうして、いきなり、こうなっちゃうのですか〜〜〜〜!!!!」 見事に巻き添えを食い、逃げ回りながら狼狽する智天使ケルビン。 彼を見つけ、勇者アクシズは叫んだ。 「邪魔だ!!!! どけ……!!!!」 突き飛ばされ、ケルビンは祭壇から転げ落ちるが、 次の瞬間、神竜の巨体がアクシズを襲い床に叩き付ける!! 神竜が大口を開けると、巨大な牙が唾液を滴らせ現れた。 一気に噛み砕くつもりなのだ……!! 「アクシズ!!!! 逃げて下さい!!!!」 賢者ディートが幼馴染に向かって絶叫した。 だが勇者アクシズは、落ち着いた表情で両手の『ガイアの剣』を鞘に収めると、 神竜の喉奥へ向かって呪文詠唱の為、両手を翳(かざ)す。 炎の塊が徐々に肥大化し、『メラゾーマ』の火球となる。 炎は神竜の口内で燃え広がり、柔らかい歯茎を焦がす……!! 「相変わらず、無茶をする。」 言って、アクシズに向かって微笑むと、 勇者オルテガは跳躍し、神竜に飛び乗ると、長首にまたがり、 『雷神の剣』の切っ先を鱗(うろこ)の繋ぎ目に食い込ませた!! そのまま柄まで潜り込ませ、一気に引き抜く。 『ぐ、ぐおおおおおお〜〜〜〜〜〜〜!!!!』 咆哮を上げ、喘ぎ苦しむ神竜から飛び降り、オルテガは竜を見上げた。 だが、咆哮は、次に灼熱の炎となって、勇者達を襲う!!!! 「ボクにまっかせて〜〜〜〜♪」 自分の身を風船のように膨らまし、スラリンは力を溜めた。 最初は吹くように、次に大口を開け、絶対零度の輝く息を吐き出す。 輝く息と、灼熱の炎が、空中で交差し、衝突に変わる……!!!! 驚愕し、勇者達は本能的な危険から咄嗟に床に伏せる。 彼等の予想通り、祭壇上で凄まじい大爆発が起こり、 急激な温度差に空気が揺れる!!!! 驚く神竜と、頭を振って徐に立ち上がる勇者達。 そして……。 「やりすぎちゃった♪ ……てへ!!」 煤(すす)だらけの丸い身体になって、 スラリンは無邪気に微笑み、舌を出した。 |
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