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智天使ケルビンは、勇者達を祭壇の前まで、案内する。
背中の翼を翻し、彼は不敵に微笑んだ。

「いいですか?
 あのお方が、全てを統べる竜神である『神竜』様です。
 そそうの無いように……。」

『そそうならば、もう、しておるではないか……!!』

ケルビンの言葉を遮り、一頭の巨竜が祭壇上空に姿を現した!!

段々に重なる雲を交互に突き抜けた、長い胴。
背中には夥(おびただ)しい数の碧(みどり)の鱗(うろこ)が艶やかに重なり、
太陽光を受け、神々しい輝きを帯びる。

勇者達は、呆然と神竜の美しさに見惚れていたが、
反して、神竜の表情は穏やかではない。
暢気なスラリンが、最初に口を開く。

「神竜様、とっても怒ってるね。
 何で?」

答えの代わりに、いきなり神竜は尾を祭壇に叩き付けた!!
寸でのところでかわし、勇者達は神竜に注目する。

「神竜、話を聞いてくれ!!!!」

叫ぶ勇者アクシズに、神竜の動きが一瞬止まる。
ホッと胸を撫で下ろす一同。

だが、神竜は大口を開け、プラズマを収束させる。

__『イオナズン』詠唱……!!?

溜め時間中に、賢者ディートが自分に『マホカンタ』を詠唱し、
パーティの先頭に立つ。
彼の予想通り、イオナズンの爆発が起こったが、
魔法の壁が神竜に攻撃を返す……!!

『ぐおおおお……!!』

咆哮し、神竜は視線をディートに移し、彼の視線と交差させた。

__……!!?

突然、睡魔が襲い、ディートが倒れる。
勇者オルテガは、駆け寄ると、彼の身体を抱かかえた。

この行動が、一種の攻撃方法であると勘付いたオルテガは、
ワザと神竜の瞳から視線を逸らし、
『技』の名称を問う。

「今の技は……!!?」

『[怪しい瞳]だ……。
 視線を合わせた者を深い眠りへ誘い込む……。』

__……と、いう事は、神竜と目を合わせてはならない……!!

唇を噛み締め、勇者アクシズは『ガイアの剣』を握る手に力を込めた。
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『DQ3』外伝CONTENTS