「高いな……。」

天を見上げ、勇者達3人と一匹は感嘆の溜め息を漏らす。

昇竜の如く、天高く雲を突き抜け、聳(そび)え立つ白い巨塔。
壁面は光を帯び、時折透ける為、
素材的には無機物か、有機物なのかはっきりしない……。

『神竜の塔』。

頂上に『神』の住まう神秘の塔である。
<1>
「魔物達の匂いがするよ……!!」

鼻があるのか無いのか判らないが、
魔物特有の嗅覚を利かせスラリン(スライム)が、
ゴーグル越しに皆を見上げる。
彼に答えるように勇者アクシズは頷いた。

……と。

勇者達の目前に、水銀を滴らせたメタルハンドの群れが現れた……!!!!

「やっぱり、普通には行かせてもらえないよな……。」

アクシズは2刀の『ガイアの剣』を鞘から引き抜くと、
刀剣を交差させ両側に一気に振り下ろす!!
彼の血に呼応すると、剣の先端からマグマが発動し、
地中深くに根付くメタルハンドの球根に到達すると、
丸ごと飲み込んでいく。

溶けるように地中に沈んでいくメタルハンド達の上空に、
メタルキメラが群れを成して現れた。
今度は、勇者オルテガが『雷神の剣』を、
下段から上段へ振り上げ『炎』を呼んだ。

炎は帯状になって魔物達を飲み込むが、
次に勇者達の頭上を、『天の門番』の巨大な足が迫る……!!!!
その時。
賢者ディートが瞬時にプラズマを収束させ、
爆発呪文『イオナズン』を詠唱した!!

「ひゅ〜〜〜。
 皆さん、流石(さすが)に強いですね……。
 わ、……とと!!」

智天使ケルビンの足元に、
元の石像となって砕けた『天の門番』の残骸が降ってきた。

上空で爆音と炎が飛び交い、
塔の内壁を天界の魔物達の青い返り血で汚していく。

だが……。

自分の住まいである『神竜の塔』を血で汚され、
黙っているほど『神竜』(しんりゅう)は穏やかな存在ではなかったのである。
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