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「連れてきたぞ。 今直ぐ、神竜のところへ案内しろ……!!」 天界。 『ゼニスの城』。 勇者オルテガをパーティに加えた勇者アクシズ達は、 智天使ケルビンの前に佇む。 オルテガは、初めて見る天界の神々しさに狼狽している。 白塗りの外壁、光り輝く壁面。城下に広がる果てしない雲海。 翼を持ち、羽を撒き散らす天空人達。 それは、聖堂に飾られた絵画のように鮮明で美しかった。 「私は、夢でも見ているのか……?」 呆然とするオルテガに、苦笑して賢者ディートが囁く。 「オルテガ様。 ココは現実の世界です。 僕も、最初は信じられませんでしたけどね……。」 「神話が神話で無くなるとは、このことだな……。」 智天使ケルビンは、勇者アクシズを見据え、真面目な表情で頷く。 「皮肉な話で申し訳ないのですが、 『勇者アイリ』さんが天界から居なくなった事で、 天界の魔物達の大暴走が沈静化されています……。 行くのなら、今であろうと……。」 だが、首謀者サムエルが残した次元の歪みは残っている。 ダンジョン化した天界が、完全に元に戻っている訳ではない……。 どっちにしろ危険には変わりなかった。 智天使ケルビンは、勇者達3人と1匹を『神竜の塔』に通じる階段まで促す。 「皆さん。 『神竜の塔』へ上る準備は出来ましたか?」 振り返るケルビンに問われ、 勇者アクシズは皮手袋を整え、2刀の『ガイアの剣』を収める鞘のベルトを、 左右交互にしっかり掛けなおす。 勇者オルテガは、『雷神の剣』を収める鞘を腰に掛け、ベルトを締める。 そして、盾を構え直した。 賢者ディートは、『賢者の石』を袋から取り出し、自分の道具袋に収め、 回復役の準備を整える。 スラリン(スライム)は、『魔獣の爪』を装備し、ゴーグルをはめ直した。 一同、お互い顔を見合わせ頷くと、彼等は掌(てのひら)を重ねた。 __何だかワクワクしてきましたね。 不謹慎で、申し訳ないですが……。 彼等の結束を目にし、ケルビンは丸眼鏡を人差し指で上げ、微笑した。 |
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