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__色々な事が、起こり過ぎる……。 拳を握り締め、勇者アクシズが唇を噛む。 『大魔王ゾーマ』討伐完遂したが、突然現れた『死の天使』達に、 勇者アイリとエビル(バラモスエビル)を攫(さら)われ、 『竜の女王の卵』は未だ行方不明。 「考え事はそこまでです。 アクシズ。 着きましたよ。 アイリさんとオルテガ様の家です。」 賢者ディートに促され、アクシズは顔を上げる。 スラリン(スライム)も足元で暢気な顔で揺れている。 地上界。 アリアハン城下町。 勇者アイリの生家。 城下町郊外付近に在る、二階建ての家である。 ヴァンベルト家が、代々跡を継いで住んでいたのだろうか。 剥がれかけた古い白塗りの壁と、青い屋根が印象的だった。 扉をノックしようとして、アクシズの拳が止まる。 __……やっぱり、会いにくい……。 幼馴染の姿に嘆息し、ディートが代わって扉をノックした。 中からルシアの声が聞こえ、ディートは手を元の位置に戻す。 そして、アクシズに向かって苦笑した。 「無理しないでいいですよ。 僕が上手く説明してあげますから。」 「……すまない。」 一方、家の中。 扉向こうのアクシズとディートを確認したルシアは、 出国手続きを済ませ、旅支度を整える勇者オルテガを呼びにいく。 ……だが。 「……何? アクシズ君が来ただと……!?」 驚愕し狼狽するオルテガに、ルシアは首を傾げる。 つまり、アクシズは『アイリの件』で、オルテガは『エビルの件』で、 お互い会いにくい状態になっているのだった。 室内でオルテガを待っていた、僧侶リオが苦笑して彼に言う。 「オルテガ様。 大丈夫ですわ♪ 私が、上手く説明してさしあげます。」 |
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