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『ルザミ』の孤島に向かう為、 勇者達は船で移動することになる。 勇者アイリが、かつてポルトガ国に届けた『黒胡椒』と引き換えた船だが、 巨大な帆船で航海には事欠かない設備が整っている。 船首には精霊ルビスを象った女神像と、帆には聖なる守りにあった、 不死鳥が飛翔している紋章が描かれている。 船長室のテーブルに海図を広げ、 勇者アイリは、船長ヴォルクと航路の打ち合わせをする。 「このまま、順調に行けば『ルザミ』です。 後は、我々に任せて、アイリ様達はゆっくりしていて下さい。」 「ありがとう……。」 船長室から出ると、アイリは溜め息を漏らした。 退屈な船旅になりそうだが、修行するにも狭い。 自分の部屋に行こうとして、ふと、アクシズの部屋の前で足が止まる。 彼は、珍しく船内で熟睡している。 ノックせずに、こっそりアクシズの部屋に入る。 ……と。 突然、船が揺れアイリは前に倒れそうになり、慌てて手前のベッドに手を突いた。 しかし体勢を崩し、寝ているアクシズの胸に覆い被さる様に倒れてしまう!! 「……?」 アクシズは胸に当たる柔らかい衝撃に目を開け、驚愕した。 全身を預ける形でのしかかった状態のアイリが、 澄んだ瞳で上から自分の瞳を覗き込んでいる……!! アクシズも慌てて上体を起こそうとして、 かえってアイリを抱き締める形になってしまう。 様々な不可抗力が重なり、2人は密着した状態になっていた。 「……ごめんなさい……。 起こしちゃった……。」 「……いや。 俺は、別に……。」 「私……。 ……アクシズのお嫁さんに、早く、なりたい……。」 「……アイリ……。」 寝起きで、夢のような台詞を聞かされ、アクシズの胸が熱くなる……。 吸い寄せられる様に顔と顔を寄せ、互いの唇が柔らかく重なり合った。 その時、船員の1人が孤島を見つけ叫ぶ。 「『ルザミ』だ〜〜〜〜〜!!!! やっと着きましたよ!!!!」 勇者達は甲板の上に出て、自分の目で孤島を確かめる。 確信を込めた瞳で、勇者アイリは孤島を見据えた。 __『ルザミ』に、ガルレオさんが居る……!! |
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