<7>
『ルザミ』の孤島に向かう為、
勇者達は船で移動することになる。

勇者アイリが、かつてポルトガ国に届けた『黒胡椒』と引き換えた船だが、
巨大な帆船で航海には事欠かない設備が整っている。
船首には精霊ルビスを象った女神像と、帆には聖なる守りにあった、
不死鳥が飛翔している紋章が描かれている。

船長室のテーブルに海図を広げ、
勇者アイリは、船長ヴォルクと航路の打ち合わせをする。

「このまま、順調に行けば『ルザミ』です。
 後は、我々に任せて、アイリ様達はゆっくりしていて下さい。」
「ありがとう……。」

船長室から出ると、アイリは溜め息を漏らした。
退屈な船旅になりそうだが、修行するにも狭い。

自分の部屋に行こうとして、ふと、アクシズの部屋の前で足が止まる。
彼は、珍しく船内で熟睡している。

ノックせずに、こっそりアクシズの部屋に入る。

……と。

突然、船が揺れアイリは前に倒れそうになり、慌てて手前のベッドに手を突いた。
しかし体勢を崩し、寝ているアクシズの胸に覆い被さる様に倒れてしまう!!

「……?」

アクシズは胸に当たる柔らかい衝撃に目を開け、驚愕した。
全身を預ける形でのしかかった状態のアイリが、
澄んだ瞳で上から自分の瞳を覗き込んでいる……!!
アクシズも慌てて上体を起こそうとして、
かえってアイリを抱き締める形になってしまう。
様々な不可抗力が重なり、2人は密着した状態になっていた。

「……ごめんなさい……。
 起こしちゃった……。」

「……いや。
 俺は、別に……。」

「私……。
 ……アクシズのお嫁さんに、早く、なりたい……。」

「……アイリ……。」

寝起きで、夢のような台詞を聞かされ、アクシズの胸が熱くなる……。
吸い寄せられる様に顔と顔を寄せ、互いの唇が柔らかく重なり合った。

その時、船員の1人が孤島を見つけ叫ぶ。

「『ルザミ』だ〜〜〜〜〜!!!!
 やっと着きましたよ!!!!」

勇者達は甲板の上に出て、自分の目で孤島を確かめる。
確信を込めた瞳で、勇者アイリは孤島を見据えた。

__『ルザミ』に、ガルレオさんが居る……!!
この次の[SCENE_10]へ
前へ
『DQ3』外伝CONTENTS